製薬企業の研究者は、
広くて綺麗な最新機器を揃えた実験室で、最先端の研究をしている。
そんなイメージがあるけど、
実際にはどんな事をしてるの?
どんな人が多いの?
この様な疑問に対して個人的な経験を踏まえながら、わかりやすく説明します。
創薬研究の仕事(新薬ができるまで)
①病気の原因を発見する
病気の原因となっている物質(標的タンパク質)を決めます。

まず、薬を作るためには、病気の原因を突き止める必要があります。
しかし、
一つの病気でも、原因となっている物質は、何種類もあります。
どの物質をターゲットにするのかを探すことが創薬研究の始まりなのです。
②薬の候補を探す

標的タンパク質・・・「鍵穴」
薬・・・・・・・・・「鍵」
に例えられます。
鍵穴(標的タンパク質)にピッタリとはまる鍵(薬)
の候補を探します。

続いて、さらに候補を絞り込みます。
具体的には、
- ・薬効薬理試験(薬がどの様なメカニズムでどのくらい効くか)
- ・物性試験(どのくらい水に溶けるか)
- ・薬物動態試験(薬を服用した後、体内のどこに行くのか)
- ・安全性試験(どのくらい副作用があるか)
など様々な試験を行い、全てに合格した薬の候補が次のステップに進みます。
薬として仕上げる

最後は、薬として仕上げる段階です。
具体的には、
- ・形を決める(飲み薬、注射など)
- ・作り方を決める(工場で大量に作る方法)
この後、
長い臨床試験を経て、承認された新薬だけが、患者さんのもとへ届けられます。

近年は、
- ・タンパク質以外(遺伝子など)を標的とした薬
- ・ロボットを用いて膨大な数の化合物から薬の候補を選ぶ(ハイ・スループット・スクリーニング:HTS)
- ・スーパーコンピューターとAIを駆使して、化合物とタンパク質の相互作用をシミュレーションする(IT創薬、イン・シリコ・バイオロジー)
製薬の業界でも、他分野の融合によるイノベーションが進んでいます。
どんな人が多い?(薬学部が多い?)

製薬企業の研究者は、専門的な知識とスキルが求められます。
大学院で自分の専門分野を極めた人が多いです。
しかし、薬学部出身の人ばかりではありません。
薬学はもちろんのこと、医学、工学、理学、農学、獣医学など
製薬企業の研究者のもつバックグラウンドは、非常に多岐にわたります。
様々な視点を持つスペシャリストと協力して仕事をするのは、
刺激的でとても楽しいです。
製薬企業の研究職に興味を持ってくれる人が少しでも増えてくれたら嬉しいです。
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