2021年1月27日、ついに日本でもApple Watch(アップルウォッチ)の心電図機能が利用できるようになり話題になりました。
今回は、歴代Apple Watchのヘルスケア機能を解説していきます。

なんで、日本での心電図の利用開始が遅れていたの?

厚生労働省から、医療機器として許可をとる必要があったからだよ!

医療機器として承認されたんだね!
そもそも、Apple Watchで何ができるの?

Apple Watchには様々なヘルスケア機能が追加されているよ!
「心拍数、心電図、血中酸素濃度」の測定の仕組みを解説します!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、ヘルスケア機能の技術革新をわかりやすく説明します!
Apple Watchとは?
Apple Watchとは、アップルが販売する腕時計型のウェアラブルデバイスです。
2015年に初代Apple Watchが発売されて以来、Series 1からSeries 6まで発売されています。

ウェアラブルデバイスって何?

身につけたまま使うことができるデバイスのことだよ!
世界中で研究開発が加速しているんだ!

なんで研究開発が激化しているの?

ずっと身に付けてもらって、健康のデータを集めて健康促進に活用することが狙いだよ!

デジタル化を通じて人々の健康を促進する取り組みは「デジタルヘルス」と呼ばれていて、医療の効率化につながると言われているよ!
医療費が財政を圧迫している日本では、必要不可欠な分野なんだ!
歴代Apple Watchのヘルスケア機能
歴代Apple Watchシリーズの発売日と搭載されたヘルスケア機能を表にまとめました。

Apple HPを参考に作成
2016年に発売されたSeries 1以降は「光学式心拍センサー」が搭載されて、心拍数の計測が可能になり、
2018年に発売されたSeries 4以降は「電気心拍センサー」が搭載されて、心電図の計測が可能になり、
2020年に発売されたSeries 6では「血中酸素ウェルネスセンサー」が搭載されて、血中酸素濃度の計測が可能になりました。

大きく分けて3種類のセンサーが搭載されるようになったんだね!

細かく見るともっとたくさんの種類のセンサーがあるけど、
今回は、3種類のセンサーの仕組みを中心に、Apple Watchのヘルスケア機能を紐解いていくよ!

開発された順に、わかりやすく解説します!
【心拍数測定の仕組み】光学式心拍センサー
Series 1以降では、光学式心拍センサーが搭載され、心拍数の測定が可能になりました。
光学式心拍センサーでは、緑色の光の吸収から血流量の変化を測定することで、心拍数を計測しています。

そもそも心拍数って何?

心臓が拍動する回数のことだよ!
手首に指を当てて測れる脈拍数と同じだよ!

光学式心拍センサーって何なの?

光を当てて心拍数を測定するセンサーのことだよ!
反射した光の強さで血流の増減を検知しているんだ!

イラストを使いながら仕組みを解説していきます!
心拍数を測定するために、まず、「血液が赤い」つまり「血液が緑色の光を吸収している」という点に着目しました。
血液に緑色の光を当てると下図のようになります。
「心臓が鼓動を打つとき→手首を流れる血液量が増える→緑色の光の吸収量が増える→緑色の反射光が減る」
一方、
「鼓動と鼓動の間→手首を流れる血液量が減る→緑色の光の吸収量が減る→緑色の反射光が増える」
ことになります。

緑色の光を当てて、その反射光を測定するだけで、心拍の様子がわかるんだね!

そうだね!
実際は、緑色LEDの他に赤外線なども使われているけど、原理は同じだよ!

(画像:Apple)緑色LEDで光を当てて、反射光をフォトダイオードセンサーで検出することで、心拍数を測定
【心電図測定の仕組み】電気心拍センサー
Series 4以降では、電気心拍センサーが搭載され、心電図の測定が可能になりました。
電気心拍センサーでは、心臓を挟んだ2つの電極から心臓の電気の流れを測定することで、心電図を計測しています。

そもそも、心電図って何?

心臓の電気の流れをグラフにしたものだよ!
この微小な電気によって、心臓は鼓動しているんだ!

微小な電気の流れをどうやって測定するの?

心臓を挟んだ2つの電極によって測定するよ!
この役割を、電気心拍センサーが担っているんだ!

電気心拍センサーって、心臓の電気を計測する電極のこと?

そうだよ!
Apple Watchには、二つの電極が搭載されているね!

(画像:Apple)

実際に、Series 4以降のApple Watchには、「背面クリスタルの電極」と「Digital Crownの電極」の二つが搭載されています。

測定時には、もう片方の手の指をDigital Crownに触れることで、
「心臓を挟んで2つの電極を装着している」状態になり、電気の流れを測定できるよ!

一つのApple Watchで二つの電極の役割を果たしているんだね!

ちなみに、病院で心電図を測定するときは、もっとたくさんの電極を取り付けて、様々な方向から立体的な心電図を測定するよ!
こっちの方が、詳細な測定ができるんだ!
【血中酸素濃度測定の仕組み】血中酸素ウェルネスセンサー
Series 6以降では、血中酸素ウェルネスセンサーが搭載され、血中酸素濃度(酸素飽和度)の測定が可能になりました。
血中酸素ウェルネスセンサーにより、血液の色を測定することで、血中酸素濃度を計測しています。

そもそも血中酸素濃度って何?

動脈中のヘモグロビンと酸素が結合している割合のことだよ!

血中酸素ウェルネスセンサーって何?

さっき説明した、光学式心拍センサーの改良版だよ!
光を当てて、反射光を測定しているんだ!

酸素濃度を測定するために、ヘモグロビンの色の変化に着目したよ!

なるほど!
ヘモグロビンは、酸素と結合しているときは「鮮やかな赤色」、酸素と結合していないときは「暗い赤色」をしてるもんね!

そうだね!
ヘモグロビンの色を調べることで、酸素の量がわかるんだ!

実際に、Apple Watchでは、
赤色と緑色の LED と赤外線 LED で手首を照射し、その反射光をフォトダイオードセンサーで読み取ることで、
ヘモグロビンと酸素が結合している割合、つまり、血中酸素濃度を測定します。

(画像:Apple)

血液の色から酸素の量を調べているんだね!
そもそも血中酸素濃度の結果って何に使われるの?

体に疾患や不良があると数値が低下することがあるから、
病院では、入院中や手術中の患者の体調管理に使われているよ!
まとめ
まとめると、
光学式心拍センサーでは、緑色の光の吸収から血流量の変化を測定することで、心拍数を計測している。
電気心拍センサーでは、心臓を挟んだ2つの電極から心臓の電気の流れを測定することで、心電図を計測している。
血中酸素ウェルネスセンサーにより、血液の色を測定することで、血中酸素濃度を計測している。

僕もアップルウォッチつけてるけど、普段は何も気にしてなかった!
色んなセンサーが大活躍しているんだね!

そうだね!
デジタル技術とバイオ技術などの「異分野融合」は見ていてワクワクするよ!!
今後も取り上げていきたいと思います!

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