【新型コロナ】ワクチンは痛い?なんで筋肉注射なの?(わかりやすく図解)

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今回は新型コロナウイルスのワクチンに関して、注射の痛みや、筋肉注射について、徹底図解していきます。

筋肉注射聞いたことある!痛そう。。。

痛みには個人差もあるからね。。。

今回は、「なぜ痛いのか?」「なぜ筋肉注射なのか?」について
製薬企業ではたらく研究者の視点から、わかりやすく解説します!

この記事でわかること
① 注射はなぜ痛いのか
② 注射の種類
③ 日本で筋肉注射が敬遠されている理由
④ 新型コロナワクチンで筋肉注射が採用されている理由

漠然と「注射は痛いしワクチンは嫌だ!」と決めつけるのではなく、

なんで痛いのか理解した上で、ワクチン接種を受けることは大切です!

注射はなぜ痛いの?

注射の痛みの理由は大きく2つに分類できます。

注射の痛みの原因
① 注射針によるもの
② ワクチンの成分によるもの

注射針による痛み

一つ目は、注射針による痛みです。

皮膚には、痛みを感じる「痛点」が、1平方センチメートルあたり100〜200個もあると言われています。

そのため、針を刺すときにこの痛点を刺激し、チクっとした痛みを感じます

細い針の方が、痛点を刺激しないから痛くないんだね!

一般的に細い針の方が痛みは少ないと言われているね!
痛みを最小限にするために、
「極細の針」(参考)や「針なし注射器」(参考)の研究開発も盛んに行われているよ!

 

ワクチンの成分による痛み

二つ目は「ワクチンの成分による痛み」です。

浸透圧」と呼ばれる、濃度の差によって生じる圧力(水が濃度の高い方から低い方へと移動する力)や

pH」と呼ばれる、酸性・アルカリ性を表す単位が

「ワクチンの成分」と「体液」とで差が大きいほど刺激となり、痛みを感じます

なんで注射が痛いのかは理解できた!
ところで、注射にはどんな種類があるの?

筋肉注射の他にも、色々な種類の注射があるよ!
続いて、「注射の種類」について解説します!

 

注射の種類

どこに薬剤を投与するかによって、大きく4種類に分けられます。

投与法 特徴
皮内注射 皮膚表面のすぐ下に投与します。アレルギー反応の検査など、主に治療ではなく検査の目的で行われます。
静脈注射 直接、静脈に投与します。効き目が速く、血流に乗せて素早く全身に届けることができます。
皮下注射 皮膚の下にある皮下組織に投与します。日本では、インフルエンザを含めたほとんどのワクチンにこの投与法が取られています。
筋肉注射 皮下組織の下にある筋肉内に投与します。筋肉内は皮下組織よりも毛細血管が多く分布しているため効き目が速いと考えられます。

(この他にも、動脈内注射や関節内注射、脊髄腔内注射など様々な方法があります)

ワクチンの投与方法は、主に皮下注射または筋肉注射です。(上図)

日本ではワクチン接種はほとんど皮下注射ですが、海外では筋肉注射が主流です。

世界的に筋肉注射が主流なのに、なぜ日本では皮下注射なの?

いい質問だね!日本では長らく皮下注射が取られていた理由を解説するよ!

 

新型コロナウイルスのワクチンはなぜ筋肉注射なの?

日本のワクチン接種では、原則「皮下注射」です。(参考:日本小児科学会

その理由は、1970年代に、筋肉注射で、刺激の強い薬剤を繰り返し投与したことによって、副作用が報告されためです。

(約 3,600 名の大腿四頭筋拘縮症の患者の報告がありました)

これ以降は、筋肉注射は敬遠されるようになりました。

しかし、当時の注射された薬剤のpHや浸透圧が、私たちの体液のpHや浸透圧と大幅に差があったため、組織への障害が大きかったことや、

さらには、繰り返しの投与によって組織障害を起こしたことなどが指摘されています。

ワクチンのpHや浸透圧は、体液に近いものが採用されているため、上記の副作用の心配はないと考えられています。

副作用と筋肉注射の因果関係をはっきりとしないまま、筋肉注射は敬遠されているんだね。。。

そうだね!続いて筋肉注射のメリット・デメリットを解説するよ!

筋肉注射のメリット・デメリット(皮下注射と比較)
・メリット:免疫の効果が大きい(抗体ができやすい)
・デメリット:神経や血管損傷のリスク

上記のように考えられており、海外では筋肉注射が主流です。

メリットは「免疫の効果が大きい」と考えられていることです。

WHOが公開する資料によると、毛細血管の多い筋肉組織の方が、皮下組織よりも免疫細胞が多いため、

筋肉注射が望ましいとされています。(参考:WHO

筋肉注射の方が抗体ができやすいということだね!

そうだね!他にも、局所反応などの副作用が起こりにくいとも言われているよ!

デメリットは、針をより深く刺すことによる「血管損傷のリスク」です。

日本では:皮下投与の方が安全性が高いと考えられている(1970年代の事件により)
海外では:筋肉注射の方が安全性および効果が高いと考えられている
ということだね!

どちらが良いと決めつけるのではなく、ワクチンの特性に合った投与方法の選択が重要だね!
今回のファイザー社とモデルナ社のワクチンは、筋肉注射で効果が確認されているため、筋肉注射が採用されているよ!

 

まとめ

以上をまとめると

・注射の痛みは「注射針による痛み」と「注射する薬剤の成分による痛み」があります。

・注射の方法は主に4種類(皮内注射、静脈注射、皮下注射、筋肉注射)あります。

・ワクチン接種について、日本では皮下注射が主流でしたが、海外では筋肉注射が主流です。

・注射方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、ワクチンの特性にあった注射方法が取られています。

皆さんがこの記事をみて、ワクチンに興味を持ち、調べたり勉強したりするきっかけになれば嬉しいです。
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参考文献

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