【JCRファーマ企業分析②】歴史・技術・ビジネスモデル(企業研究2021年最新)

国内企業

希少疾患を中心に、「バイオ医薬品のJCR」として急成長を続ける、

JCRファーマ株式会社を、シリーズで徹底分析します。

今回は、シリーズ②「JCRファーマの歴史・技術・ビジネスモデル」です。

シリーズ①では、JCRファーマの好調な業績を見たね!
シリーズ②の今回は「JCRファーマの歴史・技術・ビジネスモデル」について解説します!

JCRファーマがどんな技術を開発してきて、どんなビジネスを展開しているのか、分かりやすく教えて!

結論から言うと、独創的な基盤技術をもとに、バイオ医薬品の「高い新薬開発力」と「高い生産力」を持っているよ!

この記事でわかること
JCRファーマの「歴史、技術、事業戦略」

まずは、「JCRファーマ 研究開発の歴史」からひも解きます!



JCRファーマの歴史と技術

創業

創業は1975年です。日本ケミカルリサーチ株式会社として誕生しました。

創業当初は、タンパク質の高度な精製技術に強みを持ち、ヒトの尿などの生体由来原料から「ウロキナーゼ」などを製造していました。

その後、2014年に、JCRファーマ株式会社へ商号変更しました。

参考:JCRファーマ

最近、会社名がJCRファーマになったんだね!

そうだね!
当初は、生体由来製品の製造に注力していたけど、
その後、大きく分けて3つの技術を確立してきたよ!

JCRファーマの主要技術
① 遺伝子組換え医薬品開発技術(国産初のバイオシミラー)
② 細胞治療・再生医療技術  (日本初の他家再生医療等製品)
③ 組織ターゲティング技術  (世界初のBBB通過技術)

これだけ見てもよく分からない。。。

順にわかりやすく解説するね!

まずは「遺伝子組換え医薬品開発技術」から!

 

遺伝子組換え医薬品開発技術

遺伝子組換え医薬品開発技術とは?

一つ目のJCRファーマの主要技術は「遺伝子組換え医薬品開発技術」です。

2000年代になると、JCRファーマは、遺伝子組換え医薬品開発に乗り出しました。

2010年には、国産初のバイオシミラー「エリスロポエチンBS」の開発に成功しました。

そもそも、バイオシミラーって何?

バイオ医薬品の特許が切れた後に発売される、「後発のバイオ医薬品」のことだよ!

バイオシミラーとは?

ジェネリックと違って、バイオシミラーは構造が複雑だから、先発品との同一性を示すのが難しいんだね。。。

開発難易度が高くて、先発品との同等性・同質性を示すために、新薬と同じくらい多くの試験が行われるよ!

JCRファーマは、この難易度の高い「国産初のバイオシミラー」の開発に成功したんだ!

そうだね!

その後、2つの革新的な技術を確立したよ!

主要な遺伝子組換え医薬品開発技術
① 高発現技術「J-Mig System®」
② 糖鎖修飾技術 「J-Glyco S/M®」

 

高発現技術「J-Mig System®」

一つ目の遺伝子組換え医薬品開発技術は、高発現技術「J-Mig System®」です。

細胞に導入した目的遺伝子を選択的に強く増幅させ、遺伝子組み換えタンパク質を効率よく発現させます。

効率よく発現?

そう!目的のバイオ医薬品を効率よく作る技術だよ!

そもそも、バイオ医薬品の多くは、タンパク質に糖鎖が結合した「糖タンパク質」の構造になっているんだ!

糖タンパク質は、どうやって作るの?

遺伝子を細胞に導入して、目的の糖タンパク質を作るよ!

糖タンパク質 製造法

JCRファーマは、効率よく糖タンパク質を作るために、細胞に組み込んだDNAを増幅するシステム「J-Mig System®」を開発したんだ!

高発現技術「J-Mig System®」についてはわかったけど、
糖鎖修飾技術 「J-Glyco S/M®」って何?

 

糖鎖修飾技術 「J-Glyco S/M®」

一つ目の遺伝子組換え医薬品開発技術は、糖鎖修飾技術 「J-Glyco S/M®」です。

つまり、目的の糖鎖構造を精密につくる技術です。

糖鎖の部分って、つくるの難しいの?

そうそう!

糖鎖の部分については、遺伝子による制御が効かないから、不均一な構造になりやすいって言われているんだ。。。

「J-Glyco S/M®」は具体的にどんな技術なの?

マンノースやシアル酸と呼ばれる糖を、高度に修飾する技術だよ!

なるほど!

こんな感じで、JCRファーマは、バイオシミラーの製造によって、バイオ医薬品製造の技術とノウハウを蓄積していったんだね!

 

細胞治療・再生医療技術

二つ目のJCRファーマの主要技術は「細胞治療・再生医療技術」です。

JCRファーマは、遺伝子組換え医薬品開発技術だけでなく「細胞治療・再生医療技術」にも注力しています。

2015年には、日本初の他家由来再生医療等製品「テムセル®HS注」の開発に成功しました。

そもそも、他家由来再生医療等製品って何?

他人の細胞を使った再生医薬品のことだよ!

具体的には、健康な人の骨髄液から、細胞を分離・培養して、その細胞を薬として利用したんだ!

JCRファーマの細胞培養技術を活かしたんだね!

 

組織ターゲティング技術(BBB通過技術)

ターゲティング

三つ目のJCRファーマの主要技術は「組織ターゲティング技術」です。

近年、JCRファーマの最も注目されている技術として、BBB通過技術「J-Brain Cargo®」が挙げられます。

2021年3月には、このBBB通過技術を適用した、ムコ多糖症 II 型治療剤「イズカーゴ」の開発に成功しました。

そもそも、BBBって何?

脳のバリア機能のことだよ!

「血液脳関門(BBB)」と呼ばれていて、血管と脳との物質の移動を制限しているんだ!

血流を巡っている薬が脳に届かないんだね。。。

どうやって、BBBを通過するの?

「脳が血中の鉄分を取り込む特性」を利用したよ!

BBBとは?

 

薬を鉄分にカモフラージュしたんだね!

この技術を、他の中枢神経疾患への適応も進めているとしているよ!

この技術を使うことで、従来は脳へ届けることが困難だった薬を届けることが出来たら、革新的な治療薬が誕生しそうだね!

続いて、JCRファーマのビジネスモデルを解説します!



 

JCRファーマのビジネスモデル

JCRファーマは、どのようなビジネスモデルで収益をあげているのでしょうか?

事業戦略を2つに分類しました。

JCRファーマのビジネスモデル
① 希少疾患を中心としたバイオ医薬品の製品化
② 蓄積した独創的技術のライセンスアウト

順にわかりやすく解説します!

希少疾患を中心としたバイオ医薬品の製品化

一つ目のビジネスモデルは「希少疾患を中心としたバイオ医薬品の製品化」です。

JCRファーマは、患者数の少ない希少疾患を中心に、アンメット・メディカルニーズ(いまだ満たされていない医療上の需要)に応える製品を展開しています。

そもそも、希少疾患って何?

患者数が少ない疾患のことだよ!
日本では、患者数が5万人未満の疾患を希少疾患と呼んでいるよ!

何で、希少疾患に注力しているの?

大手が参入していない「ニッチな分野」で勝負を挑んでいるからだよ!

大手製薬企業では、患者数が少ない希少疾患の治療薬では、稼げないとして、積極的な研究開発をしていないんだ。。。

JCRファーマは’少数精鋭’の強みを生かして、希少疾患の分野で、革新的な新薬を開発しているんだね!

そうだね!
新薬開発を進めるとともに、それに関連するバイオ技術にどんどん磨きをかけているよ!

 

蓄積した独創的技術のライセンスアウト

二つ目のビジネスモデルは「蓄積した独創的技術のライセンスアウト」です。

JCRファーマは、前章で解説した独創的な技術を、国内外の大手製薬企業に提供することで、契約金収入を得ています。

実際に、2021年3月期の全売上に占める契約金収入の割合は、20%を超えました。(参考:JCRファーマ

契約金で結構 稼いでいるんだね!

JCRファーマはあくまで、ターゲットを希少疾患にして、そこで培った独創的な技術をライセンスアウトしているよ!

競争が激しく資金力が必要でリスクが高い疾患には、あえて注力していないんだ!

「希少疾患の新薬開発」→「関連技術の向上」→「ライセンスアウト」→「研究開発の資金にあてる」

という良い循環が出来上がっているね!



 

まとめ

以上をまとめると、

JCRファーマの技術は、主に「遺伝子組換え医薬品開発技術」「細胞治療・再生医療技術」「組織ターゲティング技術」からなる。

・JCRファーマのビジネスモデルは、主に「希少疾患を中心としたバイオ医薬品の製品化」「蓄積した独創的技術のライセンスアウト」からなる。

これからどんどん成長する予感がする!

JCRファーマの将来性はどうなの?

次回詳しく解説するね!

 

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