【JCRファーマ企業分析③】将来性とBBB通過技術(企業研究2021年最新)

国内企業

希少疾患を中心に、「バイオ医薬品のJCR」として急成長を続ける、

JCRファーマ株式会社を、シリーズで徹底分析します。

今回は、シリーズ③「JCRファーマの将来性とBBB通過技術」です。

シリーズ②では、JCRファーマの独創的な基盤技術を見たね!
シリーズ③の今回は「JCRファーマの将来性とBBB通過技術」について解説します!

BBB通過技術?

そう!薬を脳へ届ける技術のことだよ!

6月7日にアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」が承認されたように、今後は、バイオ医薬品を脳へ届けるBBB通過技術が、ますます注目を集めそうだね!

JCRファーマの将来性とBBB通過技術についてわかりやすく教えて!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、わかりやすく解説していきます!

この記事でわかること
JCRファーマの「中期経営計画、BBB通過技術、次世代の基盤技術、将来性、評判」

まずは「2030年を見据えて、JCRファーマが発表した中期経営ビジョン」からひも解きます!



中長期経営ビジョン「Toward 2030」

JCRファーマは、2030年を見据えた中長期経営ビジョン「Toward 2030」を発表しました。(参考:JCRファーマ

Toward 2030の概要
① 希少疾病領域におけるグローバルスペシャリティファーマを目指す
②「J-Brain Cargo」をはじめとする独自の基盤技術の創出に挑む

具体的には、どんな取り組みを行っているの?

JCRファーマ独自のBBB通過技術「J-Brain Cargo」を使った研究開発を進めているよ!

「J-Brain Cargo」を使った新薬開発状況
・日本:2021年3月23日に承認
・海外:ブラジルで承認申請中、グローバルでは最終段階の臨床試験

もうほとんど「Toward 2030」の目標達成してるじゃん!

そもそも、さっきから出てくる「J-Brain Cargo」って何?

2030年までの目標に対して、かなり順調なスタートを切っているね!

「J-Brain Cargo」について順を追って解説していきます!



 

BBB通過技術

JCRファーマが注力しているBBB通過技術について深掘りしていきます。

そもそも、BBBって何??

順にわかりやすく解説していくね!

BBBとは?

BBBとは、血液脳関門(blood-brain barrier)の略称です。

血液脳関門??

簡単に言うと「脳のバリア機能」のことだよ!

血液脳関門とは?

脳は重要な臓器だから、有害物質から守るために、血管側と脳側で異物が行き来できないようになっているんだ!

なるほど!

でも、薬を脳に届けたいときは、このBBBが厄介だね。。。

そう!注射で血管に投与した薬が、脳に届かないんだ。。。

JCRファーマは、無謀とも言えるこの課題に挑んだよ!

 

「J-Brain Cargo®」とは?

2005年に、BBB通過技術の開発に着手したJCRファーマは、

その後、独自のBBB通過技術「J-Brain Cargo®」を開発しました。

具体的には、どんな技術なの?

脳が’鉄分を取り込む特性’を利用した技術だよ!

簡単に言うと、「J-Brain Cargo」の正体は’抗体’なんだ!

抗体?何に結合する抗体なの?

「トランスフェリン受容体」と呼ばれる鉄分を取り込む役割を担うタンパク質に結合するよ!

J-Brain Cargoとは?

トランスフェリン受容体に結合した「J-Brain Cargo」はそのまま脳に取り込まれるよ!

なるほど!斬新なアイディアだ!!

薬と「J-Brain Cargo」を結合させて、薬を鉄分にカモフラージュしたんだね!

この技術を使って、様々な薬を開発しているよ!
順に紹介するね!

「J-Brain Cargo」を使った成果
① JR-141「イスカーゴ」(ムコ多糖症Ⅱ型治療薬)
② JR-171(ムコ多糖症Ⅰ型治療薬)
③ 共同研究契約の締結
成果① JR-141(ムコ多糖症Ⅱ型治療薬)
JR-141の開発状況
・日本:2021年3月23日に承認
・海外:ブラジルで承認申請中、グローバルでは最終段階の臨床試験

「J-Brain Cargo」を使った一つ目の成果は、JR-141(ムコ多糖症Ⅱ型治療薬)です。

日本では、2021年3月23日に、承認を受けました。

さらに、ブラジルでは承認申請中で、グローバルでは最終段階の臨床試験開始に向けた準備も進められています。(参考:JCRファーマ

日本では、もう開発に成功したんだね!すごい!

そもそも、ムコ多糖症ってどんな病気なの?

酵素を作ることができずに、脳の障害が出てしまう希少疾患だよ!

JR-141は、脳の症状に効果がある世界初の治療薬として承認されたんだ!

 

成果② JR-171(ムコ多糖症Ⅰ型治療薬)

「J-Brain Cargo」を使った二つ目の成果は、JR-171(ムコ多糖症Ⅰ型治療薬)です。

現在は、グローバルで、臨床試験が進められています。

成果③ 共同研究契約の締結

「J-Brain Cargo」を使った三つ目の成果は、共同研究契約の締結です。

これまでに、大手製薬企業と契約を結んでいます。

「J-Brain Cargo」に関する共同研究
・フィージビリティスタディ契約(大日本住友製薬、エーザイ)
・ライセンス契約(大日本住友製薬)

フィージビリティスタディ契約って何?

製薬企業がもつ新薬の候補に「J-Brain Cargo」が使えるかどうか見極める試験を行う契約のことだよ!

実際に、2015年6月には大日本住友製薬と、7月にはエーザイと、締結しました!

もう一方の、ライセンス契約って何?

「J-Brain Cargo」を使う許可をもらう契約のことだよ!

実際に、2018年2月には、大日本住友製薬と締結し、開発が進むたびにマイルストン収入を得ることになっています!

「J-Brain Cargo」って、大手製薬企業にも高い評価を受けている技術なんだね!



 

次世代BBB通過技術の開発

JCRファーマはすでに、次世代の「J-Brain Cargo」となり得るBBB通過技術の開発に着手しています。(参考:JCRファーマ

次世代のBBB通過技術
①「J-Brain Cargo®」の改良
② 特殊ペプチド(ペプチド薬物複合体)
③ ナノミセル(抗体薬物結合型ミセル)

たくさんチャレンジしているんだね!
これだけ見てもよくわからない。。。

JCRファーマは、未来を見据えた様々な試みをしているよ!

順番にわかりやすく解説するね!

次世代の技術①「J-Brain Cargo」の改良

一つ目の次世代のBBB通過技術は、「J-Brain Cargo の改良」です。

現在、「J-Brain Cargo」を搭載する薬としては、タンパク質などのバイオ医薬品が使われていますが、

低分子や核酸など、その他の薬に搭載する場合は、工夫が必要だとしています。

「J-Brain Cargo」を色々な種類の薬に搭載できるように研究開発を進めているんだね!

 

次世代の技術② 特殊ペプチド(ペプチド薬物複合体)

二つ目の次世代のBBB通過技術は、「特殊ペプチド」です。

ペプチド創薬のグローバルリーダーであるペプチドリーム株式会社と共同研究を行い、特殊ペプチドを用いたBBB通過技術の開発を進めています。

具体的にはどんな技術なの?

’BBBを通過する機能をもつ特殊ペプチド’と’薬物’を結合させたものだよ!

BBB通過特殊ペプチドの開発状況
・2016年:ペプチドリームとの共同研究を開始
・2019年:ペプチドリームとの共同研究に成功
・2020年:武田薬品工業とライセンス契約
(参考:JCRファーマ
2016年2月、JCRファーマは、ペプチドリームと特殊環状ペプチドを使ったBBB通過技術の共同研究を開始し、
2019年5月には、この共同研究に成功したことを発表しました。

すごい!もうBBB通過特殊ペプチドの開発に成功したの?

そうそう!今後は、この特殊ペプチドを用いた新薬開発を進めるとしているよ!

さらに、2020年12月には、武田薬品工業とBBB通過特殊ペプチドを用いた、共同研究の契約を結びました。

早くも、大手製薬会社に評価されているんだね!

この共同研究によって、神経筋疾患に対する新薬開発を目指しているよ!
今後は、このBBB通過特殊ペプチドの技術にも期待だね!

 

次世代の技術③ ナノミセル(抗体薬物結合型ミセル)

三つ目の次世代のBBB通過技術は、「ナノミセル」です。

2017年10月には、抗体薬物結合型ミセルの技術に強みをもつナノキャリア株式会社と、BBBを通過できる核酸医薬の共同研究を開始しました。

具体的には、どんな技術なの?

’薬を内包したナノミセル’と’BBB通過する機能をもつ抗体’を結合させたものだよ!

色々な技術の融合によって、BBB通過にチャレンジしているんだね!

これらのJCRファーマの革新的なBBB通過技術によって、バイオ医薬品が脳に届くようになったら、認知症などの脳の疾患の新薬開発につながることが期待できそうだね!



 

その他の研究開発

JCRファーマは、BBB通過技術の他にも、「遺伝子治療」や「再生医療」の研究開発も進めています。

遺伝子治療

希少疾患の中には、特定の遺伝子が欠損していることによって、発症する疾患も多いため、

正常に働く遺伝子を投与する「遺伝子治療」の確立に向けた研究開発を進めています。

壊れたり、不足したりしている遺伝子を補うんだね!

正常な遺伝子が働くことで、それまでは作られなかったタンパク質が作られて、病気が治ることが期待されているね!

再生医療

JCRファーマが長年培ってきた幹細胞・遺伝子組換え技術を応用して、再生医療への取り組みも進めています。

培ってきた技術に磨きをかけて、様々な治療法の確立に挑んでいるんだね!

未だ治療法が確立されていない希少疾患に対して、
抗体、ペプチド、酵素、遺伝子、細胞など、モダリティを問わず研究開発を行っているね!

 

まとめ

・JCRファーマは「J-Brain Cargo」をはじめとする独自の基盤技術の創出に挑んでいる。

・「J-Brain Cargo」を使った成果として、「ムコ多糖症新薬の承認」や「グローバルでの臨床試験」や「共同研究の締結」などが挙げられる。

次世代のBBB通過技術の開発として、「J-Brain Cargoの改良」や「ペプチド薬物複合体」や「抗体薬物結合型ミセル」などに取り組んでいる。

BBB通過技術の他に、「遺伝子治療」や「再生医療」への取り組みにも注力している

今後も、JCRファーマの革新的な技術によって、治療薬の開発が進んでいない希少疾患の新薬が誕生することに期待です!

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました