【時価総額ランキング1~3位】世界の製薬会社「2022年最新」(メガファーマ、海外製薬企業、外資、外国)

💹 製薬企業分析

世界の製薬会社を「時価総額ランキング順に」分析していきます。

下図は、2022年4月22日時点のランキングです。

順位 昨年度 社名 時価総額(億ドル)
1 1 JJ 4774
2 2 ロシュ スイス 3081
3 6 アッヴィ 2738
4 3 ファイザー 2718
5 7 イーライリリー 2655
6 8 ノボノルディスク デンマーク 2529
7 5 メルク 2138
8 11 アストラゼネカ 2046
9 4 ノバルティス スイス 2007
10 10 BMS 1610
11 12 サノフィ 1369
12 9 アムジェン 1336

参考:Forbes「The Global 2000 2022」

世界に目を向けると、時価総額が1300億ドル(約15兆円)を超えるメガファーマが12社もあるんだ!

日本の製薬企業で時価総額トップは、中外製薬で約400億ドル(約5兆円)だから、大差があるね。。。

時価総額上位12社は昨年と同じ顔ぶれだ!

それぞれどんな企業なのか知りたい!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、わかりやすく解説していくね!

この記事でわかること
海外メガファーマの「特徴、決算概要、主要ニュース」

今回は、1~3位をサクッと分析していきます!



【第1位】ジョンソン・エンド・ジョンソン

jnj-content-lab.brightspotcdn.com/eb/8c/1a4d888...

特徴

ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson&Johnson;J&J)は、

1886年に設立し、現在では、「医薬品」以外にも「医療機器」や「消費者向け製品」など幅広く展開している、米国の製薬企業です。

「免疫、感染症・ワクチン、神経科学、がん、循環器・代謝、肺高血圧症」を重点領域としています。

時価総額は、4774億ドルの第1位です。

ぶっちぎりの1位じゃん!
J&Jって、バンドエイドとか有名だよね!

そうだね!消費者向けにも幅広い事業展開をしているよ!
2021年度の決算概要を見ていこう!

2021年度決算は「増収増益」

・売上:949億ドル(前年度826億ドル):1位
・利益:198億ドル(前年度147億ドル):3位
・資
産:1820億ドル(前年度1749億ドル):1位
参考:Johnson&Johnson

増収増益だ!

医薬品、医療機器、消費者向け製品の3つの事業全てで、売上が増加したよ!

医薬品事業では何が好調だったの?

多発性骨髄腫の治療薬「ダラツムマブ」、乾癬・クーロン病・潰瘍性大腸炎の治療薬「ステラーラ」が好調だったよ!



主要ニュース

今年度の主要ニュース
・会社を2分割する計画を発表(2021年11月12日)
・米国、欧州でコロナワクチンが承認(2021年2月, 3月)
・転移非小細胞肺がん治療薬「Rybrevant」の承認(2021年5月)
会社を2分割する計画を発表

J&Jは、2021年11月に、「消費者向け製品事業」を分離(スピンオフ)する計画を発表しました。

今後は、「医薬品事業」と「医療機器」の事業に注力するとしています。

消費者向け製品って、バンドエイドとかで有名だよね?

そうだね!J&Jは事業の見直しに動いたよ!

何で、消費者向け事業を手放しちゃうの?!

「選択と集中」のためだね!
消費者向け製品は利益率が低いから、高い利益率と成長が見込める医療用の事業に集中することが狙いだよ!

最先端の技術が必要とされる新薬開発と、消費者向け製品の開発は、相乗効果が薄くなっているとも言われているよ。。

ファイザーとか武田も、最近、一般向けの事業を切り離したよね?

収益性の低い事業の切り離しは、最近のトレンドだね!

今後は、好調な医薬品事業で稼いだ資金を使って、新たな研究開発を推進することが期待されているよ!

 

米国、欧州でコロナワクチンが承認

新型コロナワクチン

2021年2月に米国で、3月には欧州で、J&J製のコロナワクチンは承認されました。

J&J製のワクチンは、「単回投与」で「超低温管理が不要」などメリットが多く期待されていましたが、使用は拡大していません。

まれに深刻な血栓症を引き起こすリスクがあるとして、
米食品医薬品局(FDA)は2022年5月に、J&J製コロナワクチンの使用を制限する方針を発表しました。

コロナワクチンに制限がかかってしまったんだね。。。

J&Jはこれまで公開していたコロナワクチンの売上見通しを取り下げて、2022年度の売上見通しを下方修正しているよ。。

転移非小細胞肺がん治療薬「Rybrevant」の承認

2021年5月に、転移非小細胞肺がん治療薬「Rybrevant」が米国で承認されました。

既存薬ではほとんど効果が得られていないため、非小細胞肺がんでファースト・イン・クラスとなる分子標的薬として期待されています。



 

【第2位】ロシュ

Hoffmann-La Roche logo.svg

ロシュ・ホールディング(Roche Holding AG)は、

1896年に設立され、現在は「医薬品」と「診断薬」を中心に事業を展開し、抗がん剤に強みをもつ、スイスの製薬企業です。

「がん、免疫、眼科、感染症、神経科学」を重点領域としています。

時価総額は、3081億ドルの第2位となっています。

ロシュって、傘下に日本の中外製薬を抱えているよね!

そうだね!

ロシュは、世界最大のバイオテクノロジー企業だよ!
2021年度の決算概要を見ていこう!

2021年度決算は「増収」

・売上:687億ドル(前年度621億ドル):3位
・利益:152億ドル(前年度152億ドル):4位
・資
産:1013億ドル(前年度974億ドル):9位
参考:Roche

増収だね!

バイオシミラー(後発品)の影響で、抗がん剤の主力品の売上が減少したけど、コロナ治療薬や検査薬が好調で、売上が伸びたよ!

治療薬では、何が好調だったの?

多発性硬化症の治療薬「オクレリズマブ」、血友病薬の治療薬「ヘムライブラ」、炎症性疾患の治療薬「アクテムラ」、PD-L1阻害剤の「テセントリック」が好調だったよ!



主要ニュース

今年度の主要ニュース
・コロナ治療薬「ロナプリーブ」が日本、欧州で承認(2021年7月, 11月)
・「アクテムラ」がコロナ治療薬として米国で承認(2022年4月)
・脊髄性筋萎縮症治療薬「エブリスディ」が日本、欧州で承認(2021年3月、6月)
ロシュは、コロナ治療薬が好調で、売上を一気に拡大しました。
コロナ治療薬「ロナプリーブ」が日本、欧州で承認

2021年7月に日本で、11月には欧州で、米リジェネロン・ファーマシューティカルズと共同開発した抗体カクテル療法「ロナプリーブ」が承認されました。

2種類の抗体を組み合わせた軽症者向けの治療薬のことだよね?

そうだね!

全世界で約2000億円も売り上げたよ!

「アクテムラ」が米国でコロナ治療薬として承認

新型コロナウイルス

「アクテムラ」が、米国で重傷者を対象としたコロナ治療薬として、2021年6月に緊急使用許可を、2022年4月に正式承認を受けました。

アクテムラって、日本の中外製薬が創製した薬だよね?

そうだね!
コロナ重症者を対象として、世界中で使われていて、約4000億円ほど売り上げたよ!

核酸標的薬「エブリスディ」が欧州、日本で承認

核酸標的薬

脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬「エブリスディ」が、2021年3月に欧州で、6月には日本で、承認されました。

エブリスディは次世代の医薬品として注目を集めている「核酸標的薬」です。

核酸標的薬って何?

核酸をターゲットにした薬のことだよ!

エブリスディは、mRNAに直接作用して、mRNAの一部を除去する「スプライシング」と呼ばれる反応を制御する働きを持っているよ!

従来はタンパク質を標的にした薬ばかりだったけど、この核酸標的薬の登場によって、画期的な新薬の誕生が期待されているんだ!

エブリスディの誕生によって、今後ますます核酸標的薬に注目が集まりそうだね!

 



【第3位】アッヴィ

アッヴィ(AbbVie)は、

2011年に設立され、現在はバイオ医薬品の研究開発に特化した、米国の製薬企業です。

「免疫、がん、中枢神経、アイケア、ウイルス、美容」などを重点領域としています。

時価総額は、2738億ドルの第3位です。

昨年の6位から大躍進だ!!

アッヴィは、世界で最も売れている薬「ヒュミラ」を持っていて、研究開発の投資効率も良い会社として知られているよ!

なんでこの1年の株価が好調だったの?

昨年はコロナ関連の開発品が乏しく、投資家に見放されていたけど、

コロナがひと段落してきたことで、再びアッヴィに注目が集まっているよ!

2021年度の決算概要を見ていこう!

2021年度決算は「増収・増益」

・売上:562億ドル(前年度458億ドル):4位
・利益:115億ドル(前年度46億ドル):6位
・資
産:1465億ドル(前年度1506億ドル):3位
参考:AbbVie

大幅な増収・増益だね!

昨年度実施したアイルランド製薬大手アラガンの大型買収や、新薬の売上が好調なことが要因だね!

ただ、年200億ドルを売り上げる主力製品「ヒュミラ」は特許切れで、今後は大幅な減収が予想されているんだ。。

次の大型新薬の開発状況はどうなの?。。

2つの新薬(Rinvoq、Skyrizi)でヒュミラの減収はカバーできるとしていて、不安視されていたアッヴィの株価は上昇しているよ!



主要ニュース

今年度の主要ニュース
・Rinvoqの適応拡大(2021年7月, 11月)
・Skyriziの承認拡大(2022年4月)

アッヴィは、2つの新薬「Rinvoq」「Skyrizi」で2025年までに150億ドルを売り上げることを計画していて、ヒュミラの減収はほとんど補填できるとしています。

相次ぐ「Rinvoq」の適応拡大

FDAの承認拡大

2019年8月に、関節リウマチでの承認を取得した、JAK阻害薬「Rinvoq」は、

2021年12月には、乾癬性関節炎での承認を取得し、

2022年1月には、アトピー性皮膚炎での承認を取得し、

2022年3月には、潰瘍性大腸炎での承認を取得し、

2022年4月には、強直性脊椎炎での承認を取得しました。

 

「Skyrizi」の適応拡大

乾癬治療薬として承認されていた、抗IL-23抗体「Skyrizi」は、

2022年1月に、乾癬性関節炎での承認を取得しました。

RinvoqとSkyriziはそれぞれ75億ドル超を売り上げると予測しており、期待の高さが表れているね!

関連記事

4位以降も気になる!

次回は、4~6位を解説するよ!

【時価総額ランキング】世界の製薬企業分析シリーズ(2022年版)
① 1~3位「J&J、ロシュ、アッヴィ」
② 4~6位「ファイザー、イーライリリー、ノボノルディスク」
③ 7~9位「メルク、アストラゼネカ、ノバルティス」
④ 10~12位「BMS、サノフィ、アムジェン」

コメント

タイトルとURLをコピーしました