【時価総額ランキング7~9位】世界の製薬会社「2022年最新」(メガファーマ、海外製薬企業、外資、外国)

💹 製薬企業分析

世界の製薬会社を「時価総額ランキング順に」分析していきます。

次回に引き続き、今回は「7~9位」を解説していきます。

【時価総額ランキング】世界の製薬企業分析シリーズ(2022年版)
① 1~3位「J&J、ロシュ、アッヴィ」
② 4~6位「ファイザー、イーライリリー、ノボノルディスク」
③ 7~9位「メルク、アストラゼネカ、ノバルティス」
④ 10~12位「BMS、サノフィ、アムジェン」

下図は、2022年4月22日時点のランキングです。

順位 昨年度 社名 時価総額(億ドル)
1 1 JJ 4774
2 2 ロシュ スイス 3081
3 6 アッヴィ 2738
4 3 ファイザー 2718
5 7 イーライリリー 2655
6 8 ノボノルディスク デンマーク 2529
7 5 メルク 2138
8 11 アストラゼネカ 2046
9 4 ノバルティス スイス 2007
10 10 ブリストルマイヤーズスクイブ 1610
11 12 サノフィ 1369
12 9 アムジェン 1336

参考:Forbes「The Global 2000 2022」

世界に目を向けると、時価総額が1300億ドル(約15兆円)を超えるメガファーマが12社もあるんだ!

日本の製薬企業で時価総額トップは、中外製薬で約400億ドル(約5兆円)だから、大差があるね。。。

時価総額上位12社は昨年と同じ顔ぶれだ!

それぞれどんな企業なのか知りたい!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、わかりやすく解説します!

この記事でわかること
海外メガファーマの「特徴、決算概要、主要ニュース」

今回は、7~9位をサクッと分析していきます!



【第7位】メルク

Merck & Co.svg

メルク・アンド・カンパニー(Merck & Co., Inc.、Merck Sharp &Dohme (MSD))は、

ドイツで誕生した化学・医薬品メーカー「メルク」から独立し、1891年に設立された米国の製薬企業です。

日本では、MSDの名で知られていますが、北米ではMerckを名乗っています。

「がん、ワクチン、感染症、循環代謝」などを重点領域としています。

時価総額は、2138億ドルの第7位です。

ドイツのメルクとは別の会社なんだね!

そうだね!
2021年度の決算概要を見ていこう!

2021年度決算は「増収増益」

・売上:504億ドル(前年度478億ドル):6位
・利益:130億ドル(前年度71億ドル):5位
・資
産:1057億ドル(前年度916億ドル):7位
参考:Merck

増収・増益だ!

主力品の免役チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が好調で172億ドル(前年比+20%)が好調だったよ!

一つの薬で年間約2兆円!すごすぎる!

「キイトルーダ」はさらに適応拡大を目指して開発が進められていて、そろそろ「世界一の売上」の薬になると言われているよ!



主要ニュース

今年度の主要ニュース
・コロナ治療薬が承認(2021年12月)
・1.3兆円で大型買収(2022年5月)
コロナ治療薬が承認

2021年12月に米国で、コロナ治療薬「モルヌピラビル」が承認されました。

2022年1~3月期の売上高は32億ドルであったとしています。

3ヶ月で4000億円以上も売り上げたんだ!

モヌピラビルはどんな治療薬なの?

ウイルスの増殖に必要なRNAポリメラーゼという酵素を阻害する薬だよ!

経口剤だから在宅での治療が可能になると期待されているよ!

でも、モヌピラビルはあまり使われてないって聞いたけどどうなの?

重症化リスクの高い患者しか処方されないからだね。。
さらに、ファイザー製のコロナ治療薬「パクスロビド」の方が有効性が高いとされているよ。。

これらを受けてメルクは、4月にモヌピラビルの売上見通しを下方修正しました。。

 

1.3兆円で大型買収

2021年9月に、「米製薬大手アクセレロン・ファーマ社(Acceleron Pharma社)を115億ドルで買収する」と発表しました。

アクセレロン社の強みである心血管系パイプラインの補強および拡大を目指すとしています。

大型買収だね!

アクセレロン社は希少疾患領域で有望な開発品を有しているよ!

メルクの売上の約1/3をを占めている主力品「キイトルーダ」は、5年後くらいから特許が切れ始めるから、収益の多角化が求められているよ!

買収による相乗効果に期待だね!

 



 

【第8位】アストラゼネカ

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アストラゼネカ(AstraZeneca)は、

1992年に設立され、近年はがん領域を中心に製品を展開している、英国の製薬企業です。

「オンコロジー、心血管、呼吸器」などを重点領域としています。

時価総額は、2046億ドルの第8位です。

2021年度決算は「増収・減益」

・売上:387億ドル(前年度227億ドル):9位
・利益:1億ドル(前年度32億ドル):12位
・資
産:1054億ドル(前年度667億ドル):8位
参考:AstraZeneca

大幅な増収だけど、大幅な減益だね。。。

昨年度、約4兆円の大型買収をしたアレクシオン・ファーマシューティカルズ社が加わったことで大幅な増収となったよ!

ただ、新型コロナ関連の研究開発費が増加したことで、大幅な減益となっているね。。



主要ニュース

今年度の主要ニュース
・コロナワクチン「バキスゼブリア」が欧州・日本で承認(2021年1月, 5月)
・糖尿病治療薬「フォシーガ」が適応拡大(2021年4月)
・抗がん剤「エンハーツ」が適応拡大(年月)
コロナワクチン「バキスゼブリア」が承認

COVID-19

2022年1月に欧州で、5月には日本で、コロナワクチン「バキスゼブリア」が承認されました。

バキスゼブリアってどんなワクチンなの?

コロナウイルスの遺伝子を、別のウイルスの殻(ベクター)に入れて作ったワクチンだね!

ベクターワクチンと呼ばれているよ!

J&J製と同じく、安全性に懸念があるから、接種は広まってないのが現状だね。。

糖尿病治療薬「フォシーガ」が適応拡大

腎臓

2021年4月に米国で、糖尿病治療薬「フォシーガ」に慢性腎臓病の適応追加が承認されました。

元々は、糖尿病の治療薬として承認されたの?

そう!

腎臓でナトリウムと糖が再吸収されるのを抑える薬で、2014年に糖尿病治療薬として承認されていたんだ!

2020年の慢性心不全の適応拡大に続き、今回は慢性腎不全の適応拡大となったよ!

今年度は30億ドル以上を売り上げました!

 

抗がん剤「エンハーツ」の適応拡大

ADC 抗体薬物複合体

2022年5月に、「米国で、抗体薬物複合体(ADC)’エンハーツ’がHER2陽性乳がんの2次治療として適応拡大を受けた」と発表しました。

エンハーツは、第一三共と共同でグローバルにおける開発を行なっています。

第一三共と共同開発してるんだね!

ADCは、「抗体の強み(がん細胞を狙い撃ちにできる)」と「薬物の強み(薬効が高い)」による相乗効果が期待されている次世代の薬として注目を集めているね!

今後も拡大が見込めそうだね!

米当局から「画期的治療薬」の指定を次々と受けていて、迅速な開発が期待されているね!

エンハーツの「画期的治療薬」指定
・2017年8月 :HER2陽性の再発・転移性の乳がん治療
・2020年5月 :HER2陽性の再発・転移性の胃がん治療
・2020年5月 :HER2遺伝子変異を有する転移性の非小細胞肺がん治療
・2021年9月 :HER2陽性の再発・転移性乳がんの二次治療以降
・2022年4月 :HER低発現の再発・転移性の乳がん治療

 



【第9位】ノバルティス

ノバルティス(Novartis)は、

1996年に設立され、現在は、新薬以外にもアイケア製品やジェネリック医薬品など、幅広い事業展開をしている、スイスの製薬企業です。

「オンコロジー、循環器、アイケア、バイオシミラー、中枢神経」を重点領域としています。

時価総額は、2007億ドルの第9位です。

アイケアとジェネリックにも展開しているんだ!

そうだね!

2021年度の決算概要を見ていこう!

2021年度決算は「増収・増益」

・売上:516億ドル(前年度486億ドル):5位
・利益:241億ドル(前年度81億ドル):1位
・資
産:1359億ドル(前年度1322億ドル):5位
参考:Novartis

大幅な増収・増益だね!

保有していたロシュの株を売却したことが影響して、大幅な増収を達成したよ!



主要ニュース

今年度の主要ニュース
・ロシュ株を200億ドルで売却(2021年11月)
・siRNA医薬品「Leqvio」が承認(2021年12月)
ロシュ株を200億ドルで売却

2021年11月に、「保有していた製薬会社ロシュの株式を207億ドルでロシュに売却する」と発表しました。

約2.5兆円の大金を手に入れたんだね!

そもそも、ロシュ株持ってたんだ!

約20年間、保有していたよ!

手にした大金の使い道はどうするの?

大半は、株主還元として、自社株買いに使うとしているよ!

新たな研究開発への投資も加速すると言われているね!

ノバルティスは、事業体制の見直しを行なっている最中なんだ!

高い成長率や利益率が見込めないジェネリック医薬品部門の売却も検討しているよ!

画期的な新薬の研究開発に注力するんだね!

 

siRNA医薬品「Leqvio」が承認

siRNA医薬品

2021年12月に、「米国で、脂質異常症に対するsiRNA医薬品’Leqvio’が承認された」と発表しました。

そもそもsiRNAって何?

次世代の医薬品として注目されている「核酸医薬品」の一種だよ!

具体的には、siRNAは短いRNAから成っていて、標的とするmRNAを切断するんだ!

siRNA医薬品にはどんなメリットがあるの?

mRNAなど、従来の医薬品(低分子、抗体)では狙えないターゲットを標的とすることができるから、大きなポテンシャルを秘めているよ!

すごい!

ノバルティスは、遺伝子治療、細胞治療など難易度の高い医薬品の開発にチャレンジしているよ!今後にも期待です!

関連記事

10位以降も気になる!

次回は、10~12位を解説するよ!

【時価総額ランキング】世界の製薬企業分析シリーズ(2022年版)
① 1~3位「J&J、ロシュ、アッヴィ」
② 4~6位「ファイザー、イーライリリー、ノボノルディスク」
③ 7~9位「メルク、アストラゼネカ、ノバルティス」
④ 10~12位「BMS、サノフィ、アムジェン」

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