【アステラス製薬】遺伝子治療薬 治験被験者が死亡(製薬ニュース第31号)

アステラス製薬

アステラス製薬は、2021年9月14日に、「X連鎖性ミオチュブラーミオパチー患者を対象に開発している遺伝子治療薬「AT132」の臨床試験について、重篤な有害事象が確認されていた被験者が死亡した。」と発表しました。原因は調査中としています。

(参考:アステラス製薬

ニュースのポイント
・アステラス製薬は、XLMTM治療薬で被験者が死亡したことを発表した
・XLMTMは重篤で致死的な神経筋疾患である
・アステラス製薬は、遺伝子治療以外にも様々な新たな取り組みを推進している

臨床試験中に死亡例が出たんだね。。。

X連鎖性ミオチュブラーミオパチーは、現在治療法のない難病で、治療薬の開発に難航しているね。。。

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!

 



X連鎖性ミオチュブラーミオパチーとは?

X連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM) は、重度の筋力低下と呼吸障害により若くして死に至る、重篤で致死的な神経筋疾患です。

若くして死に至る病気なの?

生後18ヶ月の推定生存率は約50%で、80%を超える患者で人工呼吸による補助が必要なんだ。。

原因は何なの?

遺伝子の機能欠損が原因で、骨格筋の発達に必要なタンパク質が正常に作られなくなるんだ。。。

現在治療法はないの?

根本的な治療法はないのが現状だね。。。

人工呼吸器や栄養チューブなどの患者の生活をサポートする対応が精一杯なんだ。。

アステラス製薬はどんな治療薬を開発しているの?

次世代治療薬として注目されている遺伝子治療薬だよ!
従来の薬では、治療できなかった病気に対して、革新薬となることが期待されているんだ!

遺伝子治療薬??

人工的に作った遺伝子を患者に投与して、欠損している遺伝子を補う治療薬だよ!

順に説明していきます!

 

遺伝子治療薬に関するアステラスの技術

開発中の遺伝子治療薬は、AAV8により欠損している遺伝子を骨格筋細胞に送達して、ミオチュブラリン酵素を発現するように設計されています。

AAV8って何?

AAV8は、アデノ随伴ウイルス(AAV)の一種だよ!
AAVは以下の特徴を有することから、遺伝子治療薬の’運び屋’として注目されているよ!

AAVの特徴
・病原性がない
・分裂細胞および非分裂細胞のどちらにも効率よく感染する
・安定性が高い
・型によって、特定の細胞や組織への指向性を有する

体内の狙った細胞や組織に届けるために、ウイルスの機能を利用しているんだね!

そうだね!
アステラス製薬は、2019年12月に遺伝子治療に強みをもつ米国企業Audentes社を3300億円で買収して以降、遺伝子治療薬の開発に注力しているよ!

3300億円は大金だ!
遺伝子治療薬に大金を投じて注力している中で、死亡例が出てしまったんだね。。。

実は、この治療薬に関する死亡例は、今回で2回目なんだ。。。

臨床試験の経緯と今後

アステラス製薬は、2020年8月20日にも、被験者3人が死亡したことを発表しています。

(参考:アステラス製薬

臨床試験の経緯
・2020年8月  :高用量を投与していた被験者3人が死亡したことを発表
・2020年12月:治験内容を低用量に変更して再開
・2021年9月  :再開後に低用量を投与した被験者1人が死亡したことを発表

以前にも死亡例が起こっていたんだね。。
今後はどうするの?

米当局(FDA)から臨床試験の差し止め指示を受けていて、今後の方針について協議するとしているよ!

同時に、現在治療法がないX連鎖性ミオチュブラーミオパチーについて、安全な治療法の開発に注力するとしています!

アステラスにとっては正念場だね。。
次世代の技術によって、根本的な治療薬が誕生することに期待です!

遺伝子治療薬の開発には難航しているけど、

細胞医療に挑んだり、研究組織を刷新したり、異分野融合で新事業を開拓するなど、果敢なチャレンジをしているアステラス製薬の今後には期待が持てます!



 

まとめ

・アステラス製薬は、XLMTMの患者を対象に開発中の遺伝子治療薬で、被験者が死亡したことを発表した。

・XLMTMは、重度の筋力低下と呼吸障害により若くして死に至る、重篤で致死的な神経筋疾患である。

・アステラス製薬は、治療法がない患者さんのために、遺伝子治療以外にも、様々な新たな取り組みを推進している。

 

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