英国の製薬企業グラスコ・スミスクライン(GSK)は、2021年9月27日に、「コロナ中和抗体’ゼビュディ点滴静注液’(ソトロビマブ)が、厚生労働省より軽症・中等症の新型コロナウイルス治療薬として特例承認された。」と発表しました。
(参考:GSK)

コロナ治療薬も5つ目の承認だね!

軽症・中等症を対象としたコロナ治療薬としては2例目で、変異株にも効果があるのではと期待されているよ!

どんな治療薬なの??

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!
ソトロビマブの特徴
ソトロビマブは、GSKと米製薬企業Vir社が共同で研究開発を行った抗新型コロナウイルス抗体です。

今回、承認された治療薬は、抗体なんだね!

そうだね!
投与した抗体がコロナウイルスの表面に結合して、細胞に侵入して感染するのを阻害することが期待されているよ!

どんな人が対象のコロナ治療薬なの?

12歳以上の重症化リスクの高い軽症・中等症患者に使用されるよ!

今回は、特例承認なんだね!

そうだね!
海外の臨床試験では、投与29日までに入院や死亡を79%減少できたとしているよ!

他の治療薬と比べた時の特徴は何?

抗体が変異しずらい部分に作用するから、変異株への効果が期待されている点だね!

今後はどうするの?

日本政府と協力して、速やかに供給を始めるとしているよ!
激化するコロナ治療薬の開発競争
在宅での服用が可能な経口のコロナ治療薬について、グローバルでの開発競争が激化しています。

飲み薬の開発競争が激化しているんだね!

メルクは、良好な臨床試験の結果を公表し、近日中にも緊急使用許可へ向けて申請を進めるとしているよ!

メルクが一歩リードなんだね!
コロナに感染しても自宅で重症化を防ぐことができる飲み薬の開発には期待だ!
メルク
米国の製薬大手メルクは、10月1日に、「経口抗ウイルス薬’モルヌピラビル’が、軽症から中等症の患者を対象に行ったグローバルに行っている臨床試験の中間解析で、プラセボに比べて入院や死亡のリスクを約50%低減させた。」と発表しました。
(参考:Merck)

良好な結果が出たんだね!
メルクの治療薬はどんな薬なの?

RNAを合成する酵素である「ポリメラーゼを阻害」することで、細胞に侵入したウイルスの増殖を抑えるんだ!
1日2回を5日間服用するとしているよ!

今後はどうするの?

近日中にも米政府に緊急使用許可の申請をするとしていて、すでに米政府とは約170万人分を1300億円で買い取る契約をしているよ!
日本でも、年内の供給を目指す考えを示している状況だね!
ファイザー
米国の製薬大手ファイザーは、9月27日に、「新型コロナウイルスの経口治療薬について、最終段階の臨床試験を開始した。」と発表しました。
(参考:Pfizer)

ファイザーの治療薬はどんな薬なの?

ウイルスの増殖に必須の’タンパク質を分解する酵素’である「プロテアーゼを阻害」することで、細胞に侵入したウイルスの増殖を抑えるんだ!

すでに市販されている抗ウイルス薬「リトナビル」と併用で、1日2回を5日間服用するとしているよ!

今後はどうするの?

近日中に治験結果を評価し、米国で年内の承認申請を目指すとしているよ!
塩野義製薬
塩野義製薬は、9月28日に、「新型コロナウイルスの経口治療薬について、国内で最終段階の臨床試験を開始した。」と発表しました。
(参考:塩野義製薬)

塩野義製薬の治療薬はどんな薬なの?

ウイルスの増殖に必須の’タンパク質を分解する酵素’である「プロテアーゼを阻害」することで、細胞に侵入したウイルスの増殖を抑えるんだ!

1日1回を5日間服用するとしているよ!

今後はどうするの?

治験の最終段階を実施中で、年内に治験結果を評価するとしているよ!
今月中には生産を開始して、グローバルへの展開を目指しているんだ!
まとめ
・GSKが開発したコロナ中和抗体が、厚生労働省より軽症・中等症の新型コロナウイルス治療薬として特例承認された。
・抗体が変異しずらい部分に作用することで、変異株への効果も期待されている。
・在宅での治療が可能な「経口」のコロナ治療薬について、開発競争が激化している。
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