【エーザイ】第2のアルツハイマー病治療薬 承認申請開始(製薬ニュース解説 第33号)

エーザイ

エーザイは、2021年9月28日に、「米国の製薬企業バイオジェンと共同で開発している抗アミロイドβプロトフィブリル抗体’レカネマブ(Lecanemab)’について、米国食品医薬品局(FDA)に対して、早期アルツハイマー病治療薬として段階的申請を開始した。」と発表しました。

(参考:エーザイ

ニュースのポイント
・エーザイは第2のアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の申請を開始した
・「アミロイドβを除去する」というコンセプトで開発競争が激化している
・検査法の確立に向けた研究開発も進んでいる

この前承認されたアルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」に次ぐ第2の治療薬候補だ!

「アデュカヌマブ」は、アルツハイマー病の病理に作用する世界初の治療薬として世界中で話題になったね!

今回の、「レカネマブ」ってどんな薬なの?

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!



アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」

アルツハイマー病とは?

アルツハイマー病は、認知症の一種です。

そもそも、認知症って何?

脳内の神経細胞が死滅していく病気だよ。。

アルツハイマー病は、認知症の中で最も症例が多いよ!

神経細胞が死んでいくのは恐ろしいね。。。

2040年には日本の認知症患者は1000万人にもなると言われているんだ!

さらに、厚生労働省の調査によると、認知症は「介護が必要となった原因」の第一位で、新たな治療法の確率が望まれているんだ。。。

アルツハイマー病の特徴
・脳内の神経細胞が死滅していく認知症の一種
・アルツハイマー病は、認知症の中で最も症例が多い
・認知症の患者は増え続けている
・新たな治療法の確立が望まれている

レカネマブの特徴

今回エーザイが承認申請を開始した「レカネマブ」は、アミロイドβ凝集体に対する抗体です。

アミロイドβ凝集体??

そう!アミロイドβの塊のことね!
アミロイドβは、アルツハイマー病の原因と考えられている物質で、「脳内のゴミ」と例えられているよ!

レカネマブはどんな薬なの?

アミロイドβ凝集体に結合して無毒化し、脳内から除去することでアルツハイマー病の進行を抑えることが期待されているよ!

この前承認された「アデュカヌマブ」との違いは何?

2つとも、アミロイドβを除去するようにデザインされた抗体だね!
複数の治療薬を用意することで、患者さんの症状にあわせて適切な治療を提供できることが期待されているよ!

 

経緯と今後

レカネマブは、2021年6月に、米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピーに指定されていました。
今回は、迅速承認制度を活用して早期の承認取得を目指すとしています。

そもそも、ブレークスルーセラピーって何?

簡単に言うと、革新的な新薬候補のことだよ!

ブレークスルーセラピー指定を受けると、効率的な開発を進めるための助言を受けたり審査を迅速化したりすることが可能になるんだ!

どこが革新的だったの?

臨床試験の結果が良好だったからだね!
レカネマブを投与することによって、「アルツハイマー病の原因と考えられている物質’アミロイドβ’の減少」と「症状の進行がおさまる」などの効果が評価されたよ!

今回は段階的な申請なの?

そう!

米当局の迅速承認制度を利用して、優先的に審査してもらえるから、早期の承認が期待できるね!

患者さんのために、迅速に承認されることに期待だね!

エーザイの株価は前日比+3%となり、株式市場の評価も高まっています!

 

アルツハイマー病治療薬 開発競争が激化

アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」の承認を受けて、「アミロイドβを除去する」というコンセプトの治療薬について開発競争が激化しています。

臨床試験最終段階のアルツハイマー新薬候補
・レカネマブ(エーザイ)
・ドナネマブ(イーライリリー)
・ガンテネルマブ(ロシュ)

イーライリリー

米国の製薬企業大手イーライリリーは、6月24日に、「開発中のアルツハイマー治療薬’ドナネマブ(Donanemab)’について、米当局より画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)の指定を受けた」と発表しました。(参考:イーライリリー

ドナネマブってどんな薬なの?

アミロイドβを標的とした抗体だよ!

臨床試験でアミロイドβの減少が確認できたとして、
年内の申請を目指すとしています!

イーライリリーの株価は前日比+7%も増加しました!

 

ロシュ

スイスの製薬企業大手ロシュは、10月8日に、「開発中のアルツハイマー治療薬’ガンテネルマブ(Gantenerumab)’について、米当局より画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)の指定を受けた」と発表しました。

(参考:Roche

ガンテネルマブってどんな薬なの?

アミロイドβの凝集体(アミロイド斑)を標的とした抗体だよ!

臨床試験でアミロイド斑の減少が確認できたとして、
ガンテネルマブは皮下注射が可能で、在宅治療ができるようになることが期待されています!

 

検査法の研究開発も進む

治療法の確立だけでなく、検査法の確立も目指して研究開発進んでいます。

アルツハイマー病の検査法って何?

原因物質と考えれらている「アミロイドβ」を測定する手法だね!
これまでの検査方法では、患者さんへの負担が大きいから、より簡便な検査方法の確立が望まれているんだ。。

現在のアミロイドβ脳内蓄積の確認方法
・アミロイドPET検査
・脳脊髄液検査

脳脊髄液を採取するの痛そうだね。。
新たに、どんな方法が検討されているの?

島津製作所は、2021年6月に、少量の血液からアミロイドβを測定できる装置を発売したよ!

島津製作所の研究には、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一先生も加わって最新技術が活用されており、更なる研究開発の推進が期待されています!

少量の採血で検査できるなら、患者さんの負担がかなり減りそう!

そうだね!
検査法の確立により、「早期発見」や「患者さんの症状に合わせて最適な治療法が提供されること」が期待できるね!

 

まとめ

・エーザイは第2のアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の申請を開始した。

・アルツハイマー病患者は増え続けていて、新たな治療法の確立が望まれている。

・「アミロイドβを除去する」というコンセプトのもと、世界中の製薬企業で開発競争が激化している。

・検査法の確立に向けた研究開発も進んでいる。

 

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