【中外製薬】2021年10月決算発表 コロナ薬が絶好調 中外製薬の将来性は?(製薬ニュース解説 第35号)

中外製薬

中外製薬は、2021年10月22日に、第3四半期決算を発表し「今年度の通期業績予想を上方修正し、売上高を8000億円から9700億円に引き上げた。」と発表しました。

(参考:中外製薬

ニュースのポイント
・コロナ治療薬が好調で、通期の業績予想を上方修正した
・過去最高の第3四半期決算を発表した
・株価は冴えない状況が続いている
・次世代医薬品「中分子医薬」に積極投資をして研究開発を推進している

中外製薬の勢いが止まらないね!

コロナ治療薬などが好調で、通期業績の大幅な上方修正を発表したよ!
新薬の研究開発にも積極投資をしていて将来にも期待だ!

中外製薬の「好調な要因」と「今後の見通し」について教えて!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!



2021年第3四半期決算

決算概要

2021年第3四半期決算を発表しました。(参考:中外製薬

今期(1~9月) 前年同期比(1~9月) 修正後の通期予想(1~12月)
売上高 6775億円 +17.5% 9700億円
営業利益 2907億円 +25.4% 4000億円

大幅な増収増益だね!

主力品の成長やコロナ治療薬が好調で、過去最高の第3四半期決算の内容になったよ!

通期予想を上方修正

業績が期初想定を上回ったため、業績予想を上方修正しました。

通期予想を上方修正
・売上高 :8000億円→9700億円(+21%)
・営業利益:3200億円→4000億円(+25%)

上方修正した要因は何なの?

主な要因は、コロナ治療薬「抗体カクテル療法’ロナプリーブ’」の日本政府納入が+823億円となったことだね!

ロシュから導入した「抗体カクテル療法’ロナプリーブ’」が好調なんだね!
どんな薬なの?

2種類の抗体を組み合わせた治療薬のことだよ!
7月に承認された国内初の軽症者を対象とした治療薬で、重症化を抑えることが期待されているね!

他にも好調な製品はあるの?

中外製薬が自社創製した、コロナ治療薬「アクテムラ」の国内外の売上が+214億円の約1500億円となったよ!

自社創製品が好調なのは、大きいね!

アクテムラは、もともと関節リウマチ薬として開発されたけど、コロナ重症者を対象とした治療薬として、開発が進められているよ!

業績上振れ要因
・コロナ治療薬「抗体カクテル療法’ロナプリーブ’」の日本政府納入
・コロナ治療薬「アクテムラ」の国内外の売上増加

 

株式市場の評価

2021年に入って、中外製薬の株価は冴えない状況が続いていて、日経平均株価を大きくアンダーパフォームしています。

コロナ治療薬の好調は織り込み済み?

過去最高の業績なのに、なんで!?
株式市場の評価は低い理由は何なの?

コロナ治療薬の好調な業績はすでに織り込み済みで、反動で来季から売上が減少する懸念が言われているね。。

なるほど!
業績を牽引しているコロナ治療薬の開発競争は激化しているもんね。。

在宅での治療が可能な「飲み薬」の開発も進んでいて、注射による投与をしている中外製薬の治療薬について、来期の売上見通しがついていない状況なんだ。。

さらに、約1000億円を稼いだ、主力品「ヘムライブラ」のロイヤルティ収入が大幅に減少する見通しなんだ。。

厳しい状況だね。。

次なる新薬の開発が望まれているんだね!

 

 

中外製薬の将来性

今後の中長期的な成長を牽引すると期待している中分子医薬に対して、積極的に研究開発を推進しています。

独自の中分子技術「APOLLO」

中外製薬は、APOLLO(Artificial, Peptidic, Orally available, Limitlessly Localizable Omicron)と呼ばれる独自の技術を用いて、中分子医薬の研究開発を進めています。

APOLLOって何??

独自に構築したペプチドライブラリーから、環状ペプチド医薬を創出する技術だよ!

次世代の医薬品として注目されているペプチド医薬の技術なんだね!
環状ペプチドのメリットは何?

環状ペプチドのメリット
① 低分子よりも、狙った標的に届きやすい
② 高分子よりも、品質管理や製造コストで優位
③ 細胞内外の多様な標的をターゲットにできる
④ 経口投与が可能

既存の低分子やバイオ医薬品では狙うのが難しかった細胞内のターゲットを狙う事ができると期待されているよ!

APOLLOで期待される細胞内ターゲット
・イオンチャネル特異的阻害剤
・シグナル伝達阻害剤
・転写因子阻害剤
・Gタンパク質共役受容体阻害剤/活性化剤

実際にどんなペプチド医薬を開発しているの?

経口投与可能な環状ペプチド分子であるLUNA18について、RAS遺伝子異常を有する癌を対象にした臨床試験を開始することを発表したよ!

RAS遺伝子異常はがん細胞で最も多く検出されていて、広範な癌への効果が期待されているよ!

もう臨床試験が始まるんだ!
今後に期待だ!

 

2500億円超の積極的な設備投資

中分子医薬品の研究開発促進のために、2024年までに、合計およそ2550億円の設備投資を行うとしています。

生産性向上のための投資
・中外ライフサイエンスパーク横浜:約1700億円
・藤枝工場           :約750億円
・浮間事業所          :約100億円

すごい大型投資だね!
横浜に新しい研究所を作るんだ!

中外製薬は、富士御殿場研究所と鎌倉研究所を閉鎖して、中外ライフサイエンスパーク横浜(神奈川県横浜市)を新設する計画を発表しているよ!

工場にも投資しているんだね!

中分子医薬品の合成原薬製造棟建設として藤枝工場、

バイオ原薬製造棟建設として浮間工場にも投資をしているよ!

さらに、デジタル技術の活用や積極的な外部連携も推進しているね!

中外は、本気で中分子にチャレンジしているんだね!

抗体のエンジニアリング技術を強みとする中外製薬だけど、今後は、環状ペプチドをはじめとした「中分子医薬」にも注目だね!

 

まとめ

・コロナ治療薬が好調で、通期の業績予想を上方修正した。

・過去最高の第3四半期決算を発表した。

・株価は冴えない状況が続いている。

・次世代医薬品「中分子医薬」に積極投資をして研究開発を推進している。

 

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