【中分子創薬をわかりやすく解説②】中分子創薬の課題とは?「中分子創薬の最前線」

中外製薬

中外製薬は、2021年12月13日に、研究開発説明会を開催し、「中外製薬の研究方針、中分子創薬、抗体エンジニアリング技術」について説明されました。(参考:中外製薬

中外製薬の「中分子創薬の最前線」をシリーズで解説していきます。

シリーズ②の今回は「中分子創薬の課題」について説明していきます。

【シリーズ】中分子創薬の最前線(中外製薬)
①中外製薬の研究方針、中分子創薬とは
②中分子創薬の課題
③中外製薬の取り組み
④中外製薬の進捗と今後

シリーズ①では、中外製薬は、細胞内のターゲットに創薬可能な中分子薬に着目していることを見たね!

そうだね!
中分子薬の中でも、特に「環状ペプチド」の開発に注力しているよ!

環状ペプチドって、従来は開発が難しかったの?

そうだね。。
課題がたくさんあったんだ。。

環状ペプチドを創薬する上での課題について教えて!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!



【シリーズ②】中分子創薬の課題

説明会では、環状ペプチドの創薬にあたっては、2つの課題があったと説明されました。

環状ペプチドの創薬における課題
・Out of Rule of 5に属する中分子に「薬らしい」性質を付与すること
・「薬らしい」性質をもつ環状ペプチドのDisplay Libraryを構築すること

難しくて、全くわからない。。

順に分かりやすく説明するね!

 

課題① Out of Rule of 5に属する中分子に「薬らしい」性質を付与すること

薬

一つ目の課題は Out of Rule of 5に属する中分子に「薬らしい」性質を付与すること です。

Out of Rule of 5??

低分子創薬の基準である「Rule of 5」の範囲外っていうことだよ!

この「Rule of 5」の基準を満たしているのもが「薬らしい」性質を持っているんだ!

全世界の研究者は、この基準に従って創薬しているよ!

Rule of 5の概要
・分子量が500以下
・油っぽすぎない(分配係数cLogPが5以下)
・水っぽすぎない(水素結合供与体が5個以下、水素結合受容体が10個以下)

この基準は、過去の経験則に基づいて作られたよ!

なんで、油っぽすぎたらダメなの?

体の中で、酸化代謝を受けやすくなってしまうからだよ!

逆に、水っぽすぎてもダメなの?

そうだね。今度は、細胞膜を通過しにくくなるからなんだ。。

薬として開発するためには、油っぽすぎず、水っぽすぎず、ちょうど良いバランスが必要なんだね!

この「薬らしさ」の基準を満たす化合物は、あとはタンパク質に結合することができれば薬になるよ!

中分子は、分子量500以上だから、「Rule of 5」の基準を満たしていないね。。

そうなんだ。。
だから、中分子を薬にするためには、中分子の「薬らしさ」の基準を新たに作ることが必要なんだ!

 

課題② 「薬らしい」性質をもつ環状ペプチドのDisplay Libraryを構築すること

二つ目の課題は、中分子に「薬らしい」性質の基準を設定できたとして、

「薬らしい」性質をもつ環状ペプチドのDisplay Libraryを構築すること

が挙げられました。

Display Library??

色々な環状ペプチドが提示された集合体のことだよ!
まさに、環状ペプチド(本)のライブラリー(図書館)だね!

ライブラリー

環状ペプチドのライブラリーの中から、薬となるものを選抜していくんだね!

そうだね!

このライブラリーに多様性があるほど、効率的に薬の開発ができるんだ!

どのようにライブラリーを構築したのか気になる!

次回説明していくね!

【シリーズ】中分子創薬の最前線(中外製薬)
①中外製薬の研究方針、中分子創薬とは
②中分子創薬の課題
③中外製薬の取り組み
④中外製薬の進捗と今後

 



 

まとめ

環状ペプチドの創薬における課題は、下記の2つ

・Out of Rule of 5に属する中分子に「薬らしい」性質を付与すること
・「薬らしい」性質をもつ環状ペプチドのDisplay Libraryを構築すること

 

関連記事

環状ペプチドを使った創薬には「ペプチドリーム社」も取り組んでいます。

下の記事もおすすめです!

過去のニュース一覧はこちら
製薬業界ニュース

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました