【中分子創薬をわかりやすく解説③】中外製薬の取り組みは?「中分子創薬の最前線」

中外製薬

中外製薬は、2021年12月13日に、研究開発説明会を開催し、「中外製薬の研究方針、中分子創薬、抗体エンジニアリング技術」について説明されました。(参考:中外製薬

中外製薬の「中分子創薬の最前線」をシリーズで解説していきます。

シリーズ③の今回は「中外製薬の取り組み」について説明していきます。

【シリーズ】中分子創薬の最前線(中外製薬)
①中外製薬の研究方針、中分子創薬とは
②中分子創薬の課題
③中外製薬の取り組み
④中外製薬の進捗と今後

シリーズ②では、中分子創薬における課題を見たね!

そうだね!
中分子に「薬らしさ」を付与することと、「環状ペプチド」のライブラリーを構築することが課題だったね!

その課題に対する中外製薬の取り組みを教えて!

中外製薬は、この取り組みにかなり苦戦したと明かしているよ!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!



【シリーズ③】中外製薬の取り組み

中分子創薬における課題
・Out of Rule of 5に属する中分子に「薬らしい」性質を付与すること
・「薬らしい」性質をもつ環状ペプチドのDisplay Libraryを構築すること

上記の課題に対して、説明会では、下記の3つの取り組みをしたと説明されました。

中外製薬の3つの取り組み
・「薬らしさ」を有する中分子の取得
・非天然型ペプチドの翻訳合成
・mRNA Display Libraryの活用

難しくて、全くわからない。。

順に分かりやすく説明するね!

 

① 「薬らしさ」を有する中分子の取得

薬

一つ目の取り組みは 「薬らしい」性質を有する中分子の取得 です。

薬らしい性質??

低分子創薬のルールを応用して、「薬らしい」性質をもつ中分子の取得を試みたよ!

「薬らしい」性質とは?
・活性が高い
・膜透過性が高い
・代謝安定性が高い

ペプチドの創薬は、昔から行われていて、強力な活性を有するペプチドは容易に作ることができたんだ!
だけど「膜透過性」と「代謝安定性」が低いものばかりだったんだ。。

中外製薬は、どのような対策をしたの?

「環状ペプチド」に着目したよ!

環状ペプチドは「膜透過性」と「代謝安定性」が高いの?

そう!「薬らしさ」の条件を満たしたものが多いよ!
だから、構造をちょこっとだけ改善するだけで、薬にできるんだ!

最初から、薬らしさをもつ環状ペプチドを取得したんだね!

そう!
膨大な種類の環状ペプチドを合成して、薬らしさのルールを見出すことに成功したよ!

どうやって、膨大な種類の環状ペプチドを合成したの?

次に説明するね!

 

② 非天然ペプチドの翻訳合成

二つ目の取り組みは「非天然ペプチドの翻訳合成」です。

そもそも、どうやって膨大な種類の環状ペプチドを合成しているの?

mRNAを用いた翻訳合成を使っているよ!

そもそも、ペプチドはmRNAの配列に従って、アミノ酸と呼ばれる材料から作られるよ!

ランダムな配列のmRNAを用意したら、多様なペプチドを合成できるんだね!

そう!

でも従来の技術では、20種類のアミノ酸(天然アミノ酸)しか使うことができなかったんだ。。

中外製薬はどうやって、20種類以外のアミノ酸を使ったの?

mRNAの配列と対応するアミノ酸は通常固定されているんだけど、それを書き換えたんだ!

人工的に作ったアミノ酸(非天然アミノ酸)をペプチドに組み込むことができるようになったよ!

こうして膨大な種類のペプチドを作ることが可能になったんだ!

対応するペプチドを書き換えたんだね!

よくわからないけど、すごい!

説明会で詳細は述べられなかったけど、ここに苦労したという話があったよ!

 

③ mRNA Display Libraryの活用

ライブラリー

3つ目の取り組みは「mRNA Display Libraryの活用」です。

ランダムな配列のmRNAを使えば、多様なペプチドを作れることは分かったけど、

この中からどうやって薬となるペプチドを選んでいるの?

試験管内で、ペプチドを進化させるんだ!

ターゲットにくっつきやすいペプチドに進化させているよ!

ペプチドを進化させるの?!

下図のように、「増幅」と「淘汰」のサイクルを繰り返し行なっているんだ!

「1兆種類のペプチドの中から、ターゲットにくっつくペプチドを選んで、これをまた増やす」というサイクルを繰り返しているんだね!

これは、抗体でも一般的に使われている技術だよ!

中外製薬の強みである抗体の技術をうまく活用しているんだね!

実際に中外製薬は、この1兆種類のライブラリーを使って、1年間に20種類以上の疾患に対する創薬ができるシステム構築したと語っているよ!

年に20種類以上も創薬できるんだ!

どんな創薬をしているのかが気になる!!

進捗と今後の見通しについては、次回説明するね!

 

【シリーズ】中分子創薬の最前線(中外製薬)
①中外製薬の研究方針、中分子創薬とは
②中分子創薬の課題
③中外製薬の取り組み
④中外製薬の進捗と今後

 



 

まとめ

中外製薬は、下記の3つに取り組み、約1兆種類の「薬らしい」性質を持つ環状ペプチドのライブラリーの取得に成功した。

・「薬らしさ」を有する中分子の取得
・非天然型ペプチドの翻訳合成
・mRNA Display Libraryの活用

 

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