世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスと人類の戦いについて、
シリーズで分かりやすく解説したいと思います。
シリーズ第一弾は、「そもそも新型コロナウイルスとは?」です。
製薬企業で働く研究者の視点からわかりやすく解説します!

新型コロナウイルスがパンデミックとなった今、
一人一人が新型コロナウイルスを正しく理解して、真剣に対策を取ることが求められています。
最新の研究でわかっていることを分かりやすく解説していきたいと思います。

そもそもウイルスって何?

戦いにおいては、まずは敵の情報を知ることが重要だね!順を追って説明します!
ウイルスとは?
ウイルス(ラテン語: virus)は、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないこと、小器官がないこと、自己増殖することがないことから、生物かどうかについて議論がある[1]。一般的には、ウイルスは生物ではないとされる。
引用:Wikipedia
ウイルスの定義はとても難しく、
科学者の間でもよく「ウイルスは生物か?」または「ウイルスは非生物か?」という議論がなされています。
「ウイルスとは完全な生物ではなく、感染によって増殖する物質である」とも言えます。

ウイルスって曖昧な存在なんだね。分かりずらい…

生物の特徴と比較すると少しわかってくるかもよ!


僕たちヒトも自己複製してるの?

確かに、自己複製している実感はないよね。。。
髪や爪が伸びたり、皮膚が入れ替わったりするのも
私達の体を構成する細胞が、日々、複製しているからなんだよ!

続いて、ウイルスの特徴4つをわかりやすく解説します。
とても小さい
まずウイルスの最大の特徴はその大きさです。
新型コロナウイルスは、約100 nmです。
(1 nmはとてつもなく小さく、1 mmの100万分の1です)

100 nmってどんなに小さいのか想像つかない…

そうだね、例えを用いてみよう!
「私たちの体を地球の大きさ」と仮定したら、
「ウイルスの大きさは野球ボール」ほどだよ!


ウイルス小さすぎる!!
ウイルスは非常に小さいため、普通の顕微鏡では見ることができません。
下の図は、電子顕微鏡で観察された新型コロナウイルスの画像です。

ウイルスの野望
ウイルスの目的は増殖することです。

世界中に大増殖してやるー!
俺たちウイルスは、そのスマホの画面や、PCのキーボード上にも
どこにでもいるぞ!

人に感染しないウイルスもたくさんいるぞ!
ウイルスの構造
新型コロナウイルスの構造はとってもシンプルです。
大きく分けて、「外殻」と「中身」に分けられます。
外殻
外殻は、「脂質でできた膜」に「3種類のタンパク質」が突き刺さった構造をしています。

この中でも新型コロナウイルスに特徴的なのが「Sタンパク質」です。
Sはスパイク(釘)の頭文字をとっています。
Sタンパク質の凸凹によって、見た目が王冠に似ていることからラテン語で王冠を意味する「corona(コロナ)」という名前が付けられています。
さらにこのSタンパク質が細胞に侵入する「鍵」となるのです。

壁にくっつく吸盤ボールみたいな構造だね!

そうだね!
この吸盤のような突起が細胞にくっついて、細胞に不法侵入してしまうんだよ!
中身

外殻の中に入っているのは、「遺伝物質RNA」と「Nタンパク質」です。
RNAがNタンパク質にぐるぐる巻きになっている構造をとっています。
(RNAは新しいウイルスを作るための設計図にあたるものです)

ウイルスって、究極の「ミニマリスト」だね!

そうだね!とても賢い生き方をしているよ!
「新しい自分を作る設計図」と「その設計図を守る殻」だけでできていて、
「新しい自分を作る工場」は私たちの細胞を勝手に使っているんだ!
ウイルスの弱点
新型コロナウイルスの外殻は脂質でできています。
そのため、この脂質でできた外殻がウイルスの弱点です。
例えば、新型コロナウイルスが石鹸に弱いのは、石鹸によって脂質が溶けて膜を破壊できるからです。
(新型コロナウイルス以外のウイルスには、外殻が脂質でできていないものもいるので注意が必要です)

油汚れが石鹸でよく落ちるのと同じだね!

そうだね!手を洗うときは石鹸を使うことが重要だね!
ウイルスの外殻はアルコールでも壊すことができるよ!
まとめ
まずは敵を知ろうという目的で、新型コロナウイルスについて解説しました。
まとめると、新型コロナウイルスは以下の特徴を持ちます。
「とても小さい」「多様なウイルスの中の一種」「増殖する野望を持っている」「構造はシンプル」「石鹸に弱い」
次回の記事では、「新型コロナウイルス vs 人の戦い」をミクロな視点から解説したいと思います。
【新型コロナウイルスvs人類】シリーズ②ウイルスが体内に侵入

この記事によって、皆さんがウイルスに興味を持ち、感染症対策のために調べたり勉強するきっかけになれば嬉しいです。
参考文献
もっと詳しく知りたい方は、以下の文献を読んでみて下さい。
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