今週、製薬業界で起きたニュースを3つに絞って解説します。

製薬業界のニュースをわかりやすく、サクッと教えて!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、
押さえておきたい今週のニュースを3つ厳選して、わかりやすく解説します!
【ロシュ】変異種を自動判定、コロナPCR検査を発売
スイス製薬大手のロシュは、自動検査装置を用いて新型コロナウイルスの変異の有無を判定する研究用試薬を4月8日に発売すると発表しました。(参考:ロシュ)
新型コロナウイルス検査で陽性が確認された検体に対して、本検査を行うことで、英国型、南アフリカ型、ブラジル型などに特徴的な、3種類の変異を同時に検出できるとしています。

自動検査装置ってどんなものなの?

そもそもPCR検査とは、ウイルスの遺伝子を抽出・増幅させ、検出する検査方法なんだけど、
この「抽出、増幅、検出」の全工程を自動で行う装置だよ!

変異種も自動検出してくれたら、医療者の負担を減らせるね!

そうだね!
感染力が強いと言われている変異種への対応に貢献できると期待されているよ!
【キュライオ】クライオ電顕・深層学習を創薬に応用
4月5日、株式会社キュライオは株式会社プリファードネットワークス(Preferred Networks;PFN)と創薬共同研究を始めたと発表しました。(参考:キュライオ)
キュライオ社の強みである、「クライオ電子顕微鏡を使ってタンパク質の構造を解析する技術」と、
PFN社の強みである、「深層学習(ディープラーニング)を使って薬の分子設計をする技術」を
組み合わせることで、構造ベース創薬の高速化・高精度を目指すとしています。

そもそも、クライオ電子顕微鏡って何?

液体窒素で凍らせた試料を観察する電子顕微鏡のことだよ!

電子顕微鏡って、光の代わりに’電子’を当てて観察する顕微鏡で、ナノメートル単位の小さいものを観察できるんだよね!
凍らせて観察するクライオ電子顕微鏡は何のメリットがあるの?

主に2つのメリットがあるよ!

左が普通の電子顕微鏡の画像で、右がクライオ電子顕微鏡の画像だよ!

解像度の差が一目瞭然だね!
原子レベルで観察できてる!

もう一つのメリットとして、
試料を凍らせるから、ほぼ水中の状態でそのまま観察することができるんだ!

生体内では、ほとんどの物質が水中にいる状態だもんね!
クライオ電子顕微鏡のすごさはわかったけど、タンパク質の構造を解析して、次はどうするの?

標的となるタンパク質の構造を解析して、最適な構造の薬を分子設計するよ!
この分子設計に深層学習を組み合わせることで、創薬プロセスが大きく効率化・高速化することが期待されているんだ!
【ファイザー】コロナワクチン、半年後も効果あり
米製薬大手のファイザーは1日、新型コロナウイルスワクチンについて、2回目の接種から半年間の有効性が91.3%とする結果を発表しました。(参考:ファイザー)

以前は、接種から7日後の有効性は95%と発表していたよね?

そうだね!今回は効果が持続することが確認できたんだ!

具体的には、どんな臨床試験の結果だったの?

4万人以上が参加した臨床試験で、「ワクチンを投与した参加者」と「偽薬(プラセボ)を投与した参加者」とで比べた結果、
コロナを発症した927名のうち、プラセボ投与者は880名、ワクチン投与者は77名で、発症予防効果は91.3%だったんだ!

変異種に対しては効果あるの?

効果が低下するのではという懸念があったけど、
感染力が強いと言われる南アフリカ由来の変異ウイルスに対する有効性が100%であったことも発表されたよ!
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