2021年2月から毎週連載を開始し、今回は第13号!
今週も、製薬業界で起きたニュースを3つに絞って解説します。(〜2021年5月14日の最新トピック)

今週も、製薬業界のニュースをわかりやすく、サクッと教えて!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、
押さえておきたい今週のニュースを3つ厳選して、わかりやすく解説します!
【エーザイ】国立がん研究センターと共同研究
エーザイは、5月14日、国立がん研究センターと、「希少がん・難治性がんについて創薬を加速させる研究」について共同研究を始めたと発表しました。(参考:エーザイ)

そもそも希少がんって何?

症例が少ないがんのことだよ!

患者数が少なく、専門とする医療機関が少ないことから、未だに有効な治療法が開発されていなくて、
アンメットメディカルニーズが高いと言われているんだ。。。

なるほどね!じゃあ難治性がんは何?

治りにくいがんのことだよ!
治療薬開発の難易度が高く、未だ治療法が確率されていないんだ。。

両方とも、新薬開発難しそうだね。。。
今回は、どんな共同研究なの?

実験の段階から薬の効果を高精度で予測して、次のステップである臨床試験での失敗を減らすことを目指しているんだ!
下の「新薬開発の流れ」の中の②に当たるよ!

非臨床試験の精度を上げるんだね!
国立がん研究センターはどんな技術を持ってるの?

治療効果を予測するモデルを持ってるんだ!
具体的には、PDX(Patient-Derived Xenograft:患者由来のがん組織を免疫不全マウスに移植したモデル)ライブラリーと呼ばれているよ!

PDXライブラリー?

従来は、「細胞株」を使って実験して効果を予測していたんだけど、予測精度が悪く課題となっていたんだ。。。

PDXでは、患者のがん組織をマウスに移植して腫瘍を再現した「動物モデル」を使って実験して、効果を予測するから、
腫瘍組織を再現できて、予測の精度が高いよ!

エーザイはどんな技術を持っているの?

がんを重点領域と定め、次々と、新規抗がん剤の研究開発を進めているよ!

共同研究によって、創薬が加速して、新薬が開発されるといいね!
今後に期待だね!
【イーライリリー】コロナ治療薬 承認。第三の治療薬
厚生労働省は、4月23日に、米国製薬大手イーライリリーが開発した「オルミエント(バリシチニブ)」について、新型コロナウイルスの3例目の治療薬として承認したと発表しました。
(参考:厚生労働省)

バリシチニブってどんな薬なの?

炎症を抑える効果があり、関節リウマチやアトピー性皮膚炎の治療薬としてすでに使われていたお薬だよ!
サイトカインストームと呼ばれる過剰な免疫反応によって引き起こされる肺炎に効くと言われているよ!

重症患者に効果があるんだね!

肺炎のため酸素吸入が必要な患者に対して「レムデシビル」と併用することになっています!

現在承認されている他の治療薬はどんな種類なの?

レムデシビルは、抗ウイルス活性があり、もともとエボラ出血熱の治療薬として開発されたんだ!
一本鎖RNAウイルスに効くと言われているよ!

デキサメタゾンは、ステロイド系抗炎症薬だよ!
1950年代から使われているお薬で、後発品がたくさんあるから安価なのが特徴だよ!
製薬企業 決算情報まとめ
本決算または第1四半期決算が次々と発表されています。
先週と今週に分けて、主要な製薬企業の業績をハイライトしています。
武田薬品工業
2021年3月期、通年の決算を発表しました。(参考:武田薬品工業)
今年度 | 前年度比 | 来年度予想 | |
売上高 | 31,978億円 | -2.8% | +5.4% |
営業利益 | 5,093億円 | +407.2% | -4.2% |

減収だね。。。

グローバル製品は成長したけど、為替やノンコア事業売却の影響が響いて、減収となっているね。。。

営業利益は爆上がりじゃん!

ノンコア事業の売却と、前年度から買収費用が大幅に減ったことで、達成できたとしているよ!

来年度は増収を予想しているんだね!

グローバル製品の成長と、ノンコア事業売却益によって、達成できると予想しているよ!
さらに、来年度は4つの新薬が承認される見通しで、「2030年度までに5兆円の売上達成」という野心的な目標を設定しています!
大塚ホールディングス
2021年12月期 第1四半期 決算を発表しました。(参考:大塚HD)
今期 | 前年同期比 | 通期予想進捗率 | |
売上高 | 3,368億円 | -0.8% | 23.7% |
営業利益 | 501億円 | -7.1% | 26.1% |

今期は減収減益だね。。。

注力しているグローバル4製品は成長したけど、抗てんかん薬などの提携販売の終了が響いて、減収減益となったね。。。

通年予想に変更はなしとしているよ!
エーザイ
2021年3月期、通年の決算を発表しました。(参考:エーザイ)
今年度 | 前年度比 | 来年度予想 | |
売上高 | 6,459億円 | -7.1% | +5.4% |
営業利益 | 518億円 | -58.7% | +12.0% |

今年度は減収減益だね。。。

主力品のレンビマは好調だったけど、新型コロナ拡大、日本での薬価改定などの影響が響いて、減収となったとしています。。。
さらに、レンビマへの先行投資によって、減益となっています。

来年度は増収増益を予想しているね!

レンビマの成長とメルク社からのマイルストーン収入などにより、増収増益と予想しているよ!
塩野義製薬
2021年3月期、通年の決算を発表しました。(参考:塩野義製薬)
今年度 | 前年度比 | 来年度予想 | |
売上高 | 2,972億円 | -10.9% | -2.4% |
営業利益 | 1,174億円 | -10.1% | -23.4% |

今期は減収減益だね。。。

新型コロナによる医薬品市場の縮小、為替変動によるロイヤリティー収入の減少が響いて、減収減益となっています。。。

来年度も減収減益なんだ。。。

新規事業については織り込まず、減収減益を予想しているよ!
感染症のリーディングカンパニーとして、コロナの「予防・診断・治療・流行予測」に取り組むと表明してます!今後の動向に注目だね!
小野薬品工業
2021年3月期、通年の決算を発表しました。(参考:小野薬品工業)
今期 | 前年同期比 | 来年度予想 | |
売上高 | 3,093億円 | +5.8% | +13.2% |
営業利益 | 983億円 | +26.9% | +6.8% |

今期は増収増益だね!

主力製品オプジーボの適応拡大やロイヤルティー収入の増加によって増収増益となったね!

来年度も増収増益だね!

引き続き、オプジーボの適応拡大とロイヤルティー収入の増加によって、増収増益を予想しているよ!
ただ、度重なるオプジーボの薬価下げや、競合品との競争激化など不安要素は多いよ。。。
田辺三菱製薬
2021年3月期、通年の決算を発表しました。(参考:エーザイ)
今年度 | 前年度比 | 来年度予想 | |
売上高 | 3,778億円 | -0.5% | +7.9% |
営業利益 | -585億円 | – | – |

今年度は赤字だったんだ。。。

パーキンソン病の新薬開発が1年半遅れることと、競合品の開発状況から、大幅な収益減少を計上したことが原因だね。。。

来年度は増収増益を予想しているね!

海外子会社のメディカゴ社が、新型コロナワクチンを実用化する見込みで、増収増益としているよ!
大日本住友製薬
2021年3月期、通年の決算を発表しました。(参考:大日本住友製薬)
今年度 | 前年度比 | 来年度予想 | |
売上高 | 5,160億円 | +6.9% | +12.0% |
営業利益 | 712億円 | -14.4% | -14.3% |

今期は増収だね!

日本での主力品の成長と、北米でのラツーダの成長により増収となったね!

今期は減益だね。。。

ブロックバスターとなることを期待していたがん治療薬ナパブカシンの開発中止によって、多額の減損損益を計上したことが原因だね。。。

来年度は、増収減益なんだね!

ラツーダを中心とした主力品の成長により、増益を見込んでいるけど、
販売活動に資金を投下するため、減益を予想しています!
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