【今週の製薬ニュースBest3】アルツハイマー新薬承認など(〜2021年6月11日)第17号

💊製薬業界ニュース

2月から毎週連載を開始し、今回は第17号!

製薬業界で起こった 2021年6月11日までの最新トピックスを 3つに厳選して解説します。

今週のトピックス
①【エーザイ】アルツハイマー病新薬 米国で承認
②【エーザイ】アルツハイマー新薬へのアクセス支援 開始
③【第一三共】国内初 ウイルスを利用したがん治療薬 承認

今週は、アルツハイマー病新薬が話題になったね!

今週も、製薬業界のニュースをわかりやすく、サクッと教えて!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!



【エーザイ】アルツハイマー病新薬 米国で承認

エーザイと米製薬企業バイオジェンは、6月8日に、共同開発していたアルツハイマー病治療薬「ADUHELMTM(一般名:アデュカヌマブ)」が米国で承認されたと発表しました。

アルツハイマー病の病理に作用する世界初の治療薬として、迅速承認を受けたとしています。(参考:エーザイ

ニュースのポイント
・アルツハイマー病の原因に作用する、世界初の薬が承認された
・臨床試験の結果に関して、賛否両論がある
・今後は、追加の臨床試験が行われる

そもそも、アルツハイマー病って何?

認知症の一種だよ!

脳内の神経細胞が死滅していくことによって起こるんだ。。。

アルツハイマー病は、認知症の中で最も症例が多いよ!

神経細胞が死んでいくのは恐ろしいね。。。

2040年には日本の認知症患者は1000万人にもなると言われているんだ!

さらに、厚生労働省の調査によると、認知症は「介護が必要となった原因」の第一位で、新たな治療法の確率が望まれているよ。。。

新薬開発が望まれていたんだね!

今回の新薬の特徴は何なの?

アルツハイマー病の原因に作用する、世界初の薬であることだね!

今までは、症状を一時的に緩和する治療薬しかなかったんだ。。

すごい!画期的な新薬だね!

株式市場の評価もかなり高いよ!
2日連続のストップ高で、エーザイの株価はいっきに上昇して、お祭り騒ぎが続いているね!

でも、承認に対して賛否両論あるみたいだけど何で?

「完璧とは言い切れない臨床試験結果」を巡って意見が分かれているね。。。
承認に至るまでも、開発中止や審査延期など、紆余曲折があったよ!

米当局が承認を決断した理由
・アデュカヌマブにより、アルツハイマー病の原因物質と考えられている「アミロイドβ」を減少させる
・アミロイドβの減少により、症状の改善が期待できる
(参考:アメリカ食品医薬品局; FDA

原因物質を取り除けることは示せたけど、症状が改善することは完全に示されたわけではないんだね!

そうだね!今回は迅速承認という制度が使われたんだ!
米当局は、「追加の臨床試験を行い、効果が認めらなかった場合は、承認を取り消す可能性がある」としているよ!

でも、今回の新薬承認によって、アルツハイマー病治療に対する道が開けてきたね!

今回をきっかけに、アルツハイマー病に関する研究が加速して、革新的な新薬や治療法が誕生することに期待です!

 

【エーザイ】アルツハイマー新薬へのアクセス支援 開始

エーザイと米製薬企業バイオジェンは、6月8日に、承認されたアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」へのアクセスを確保できるような、患者向けのプログラムを開始したと発表しました。(参考:エーザイ

ニュースのポイント
・承認されたアルツハイマー新薬は、高額なコストの懸念がある
・エーザイは、各国の制度や保険などを考慮して、患者の支援を進める
・エーザイは、「複数の検査法や治療法」の確立により、アルツハイマー病の根本治療を目指す

具体的には、どんなプログラムなの?

アルツハイマー病の診断や治療を支援する、患者向けのプログラムのことだよ!

患者を支援するの?

そう!

今回承認された「アデュカヌマブ」は、バイオ医薬品であるため、価格が高くなることが懸念されているんだ。。。

各国の制度や保険を考慮して支援していくとしているよ!

今後はどうするの?

まずは、検査方法の確立を目指すとしているよ!
具体的には、アミロイドβの蓄積を最新技術を用いて検査するんだ!

蓄積が確認された患者に対して、治療を進めるとしているよ!

どうやって検査するの?

アミロイドβ脳内蓄積の確認方法
・アミロイドPET検査
・脳脊髄液検査

主に、この二つだね!

高額であったり、強い痛みを伴ったりするから、

血液検査など簡便な検査方法が充実することが望まれているよ!

新薬は承認されたけど、まだまだ課題は多いね。。。

エーザイは、他にもアルツハイマー病新薬の開発を行っているよ!

新薬と検査法の開発に成功したら、患者の症状に合わせた治療の実現が期待できるね!



 

【第一三共】国内初 ウイルスを利用したがん治療薬 承認

第一三共は、6月11日に、悪性の脳腫瘍の治療薬として、東京大学医科学研究所と共同開発した、がん治療用ウイルス「デリタ クト注」(一般名:テセルパツレブ)が承認されたと発表しました。(参考:第一三共

ニュースのポイント
・国内初の がんウイルス療法が承認された
・がんウイルス療法では、ウイルスを利用してがん細胞を選択的に感染させ破壊する

そもそも、ウイルス療法って何?

ウイルスを使ったがんの治療のことだよ!

がん細胞にウイルスを感染させて直接がん細胞を破壊するんだ!

ウイルスを治療薬として使うんだね!斬新だ!
副作用はないの?

がん細胞だけでしか増殖することができないウイルスを使うから、正常細胞は傷つかないとしているよ!

がんウイルス療法は、以下の2つのメカニズムが働くから、効果が高いと期待されているんだ!

がんウイルス療法
① ウイルスが、がん細胞に感染して増殖することで、がん細胞を直接破壊する
② 増殖したウイルスは、周囲のがん細胞へ飛び移ることで、周囲のがん細胞も破壊する

「ウイルス=病気の原因」と思い込んでいたから、革新的な技術だね!

今後は、安全性や有効性に関するデータを7年間集め、結果を改めて確認するとしているよ!



 

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