2月から毎週連載を開始し、今回は第20号!
製薬業界で起こった 2021年7月2日までの最新トピックスを 3つに厳選して解説します。

今週も、製薬業界のニュースをわかりやすく、サクッと教えて!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!
【中外製薬】コロナ治療薬 国内で承認申請
中外製薬は、6月29日に、「新型コロナウイルス中和抗体である’カシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル療法’について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として、国内で承認申請を行った」と発表しました。(参考:中外製薬)

抗体カクテル療法??

そう!
2種類の抗体を組み合わせた治療薬のことだよ!

何で、2種類の抗体を組み合わせるの?

組み合わせることで、相乗効果が期待できるからだよ!

ウイルスの外膜に競合せずに結合することで、ウイルスの細胞への感染を阻害する’中和抗体’としての効果が期待されているよ!
あと、変異するウイルスに対しても効果を示すことも期待されているよ!

抗体カクテルって、アメリカではもう実用化されているよね?

そうだね!
今回の「カシリビマブとイムデビマブ」の抗体カクテルの他に、
イーライリリーが開発した「バムラニビマブとエテセビマブ」にも緊急使用許可が出ているよ!

今後はどうするの?

中外製薬は、緊急使用許可を希望していて、1日も早く患者に届けることを目指しているよ!

中外製薬のコロナ治療薬といえば、先週に米国で関節リウマチ薬「アクテムラ」が承認されてよね!

中外製薬のコロナ治療薬開発に対する株式市場の評価は高く、一時、前日比7.9%も上昇しました!
【富士フイルム】バイオ医薬品の製造設備に 900億円追加投資
富士フイルムは、6月29日に、「バイオ医薬品CDMO子会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesの欧米拠点に総額約900億円の大型設備投資を行う」と発表しました。(参考:富士フイルム)

そもそも、CDMOって何?

薬の「開発と製造」に特化した企業のことだよ!

近年は、製薬業界でも「創薬研究→臨床研究→製造販売」の全ての段階で、外部企業を利用する流れが進んでいるんだ!

富士フイルムはCDMO事業に注力しているんだね!

そうだね!
バイオ医薬品の製造設備は高額で、高度な生産技術が求められるため、製薬会社が外部の企業に製造を委託する動きが広がっているんだ!

そうした中で、富士フイルムは累計で約6000億円の投資をしていて、
過去には、メルクなど大手製薬企業の製造子会社を買収して、CDMOに注力する姿勢を強めているよ!

これまでにも、かなり大金を投資してきたんだ!
今回の追加投資は、どんな内容なの?

米国拠点では、ワクチンの生産能力を倍増して、
英国拠点では、遺伝子治療薬の生産能力を10倍に増やすとしているよ!

今後はどうするの?

今回増強した設備の稼働は2023年を予定しているよ!
ちなみに、バイオ医薬品のCDMOは、バイオ医薬品市場の拡大とともに、異業種の参入が増加し、競争が激化しているよ。。。

富士フイルムには、独自の技術に磨きをかけて、さらに発展することを期待だね!
【イーライリリー】アルツハイマー病新薬候補 米国で画期的治療薬の指定
イーライリリーは、6月24日に、「開発中のアルツハイマー治療薬’ドナネマブ’について、米当局より画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)の指定を受けた」と発表しました。(参考:イーライリリー)

そもそも、ブレークスルーセラピーって何?

革新的な新薬候補のことだよ!
ブレークスルーセラピー指定を受けると、効率的な開発を進めるための助言を受けたり審査を迅速化したりすることが可能になるんだ!

そういえば、エーザイの新薬候補「レカネマブ」もブレークスルーセラピー指定を受けたよね?!

そうそう!
現在、3つの新薬候補が臨床試験の最終段階にあるよ!
3つとも、アルツハイマー病の原因と考えられる物質「アミロイドβ」を標的とした薬だよ!

この前の「アデュカヌマブ」承認によって、アルツハイマー病治療薬の研究開発が加速しているね!

研究開発の加速によって、アルツハイマー病の根本治療薬が登場することに期待です!
関連記事

毎週、製薬業界のニュースを厳選して発信しています!
Twitterも始めたので、よかったらのぞいてみて下さい!
https://twitter.com/shinjilabb
コメント