2月から毎週連載を開始し、今回は第26号!
製薬業界で起こった 2021年8月13日までの最新トピックスを 3つに厳選して解説します。

iPS細胞も医薬品としての実用化が見えてきたね!

武田薬品工業と京都大学のiPS細胞に関する共同研究が始まって5年が経ち、
ついに、実用化を目指す段階になったよ!

コロナワクチンのブースター接種も始まったんだね!

免疫力の低下している限られた人だけが対象だけど、米国で承認されたよ!

製薬企業ではたらく研究者の視点から、順にわかりやすく解説していきます!
【武田薬品工業】iPS細胞活用へ 新会社設立
武田薬品工業と京都大学などが出資する京大発のバイオベンチャー、オリズルセラピューティクス株式会社は、8月10日に、「iPS細胞を利用した研究開発型の企業として始動した。」と発表しました。
(参考:オリズルセラピューティクス)

そもそも、iPS細胞って何だっけ?

人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell)のことで、
体の様々な組織になれる能力を持った細胞だよ!

オリズルセラピューティクスってどんな会社なの?

2015年に、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と武田薬品工業は、iPS細胞に関して共同研究を開始したんだけど、
この研究成果を実用化するために設立された会社が、オリズルセラピューティクスだよ!

CiRAって、ノーベル賞を受賞した山中先生が所長を務める研究所だよね!

そうそう!
オリズルセラピューティクスは、2つの事業からスタートするとしているよ!


オリズルセラピューティクスは、どんな技術を持ってるの?

iPS細胞から、高機能で高純度の細胞を作製する技術を有しているよ!
今後は、患者に投与するかたちにする製剤化を目指します!

iPS細胞を利用した細胞治療によって、今までは難しかった病気の画期的な治療法が開発されることに期待だね!

細胞治療は、機能が失われた組織に細胞を補充することで回復を促す、根本治療として期待されている次世代の治療法だからね!

オリズルセラピューティクスの他にも、ハートシードや富士フイルム、大日本住友製薬など、日本国内でも、iPS細胞を用いた治療法の開発競争は激化しているよ!

日本発のiPS細胞を利用した治療薬が開発されるのが楽しみ!
【FDA】コロナワクチン ブースター接種を承認
米食品医薬品局(FDA)は、8月12日に、「ファイザー製コロナワクチンおよびモデルナ製コロナワクチンの緊急使用許可を修正し、免疫力の低い人を対象に3回目の追加接種を許可する。」と発表しました。
(参考:米食品医薬品局)

なんで、ブースター接種が承認されたの?

時間の経過とともに、抗体のレベルが低下することや、より感染力の強い変異株の感染が拡大していることが背景にあるよ!

一般の人は対象ではないんだね!

現時点で、一般の人はブースター接種の必要はないとしているよ!
どういった人がどのくらいの頻度で、接種が必要なのかは、まだ研究中だね!

ワクチンを望む人で、まだ2回接種を完了していない人がいるから、そっちにワクチンを供給することも必要だね!
製薬企業 決算情報まとめ②
第1四半期決算または第2四半期決算が次々と発表されています。
先週から3回に分けて、時価総額順に製薬企業の業績をハイライトします。

今回は、エーザイ、塩野義製薬、協和キリン、小野薬品工業、田辺三菱製薬について解説します!
エーザイ
2021年度 第1四半期決算を発表しました。(参考:エーザイ)
今期(4~6月) | 前年同期比(4~6月) | ||
売上高 | 1989億円 | +20.1% | |
営業利益 | 558億円 | +72.5% |

増収増益だね!

グローバル主力品の抗がん剤「レンビマ」が成長し442億円も売り上げたよ!
さらに、抗がん剤ADCについて米製薬大手ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)との提携による契約一時金496億円を受け取ったことで、大幅な増収増益となりました!

エーザイは、アルツハイマー病新薬も承認されて、研究開発が順調だね!
塩野義製薬
2021年度 第1四半期決算を発表しました。(参考:塩野義製薬)
今期(4~6月) | 前年同期比(4~6月) | 上期予想進捗率(4~6月) | |
売上高 | 690億円 | -3.4% | 51.1% |
営業利益 | 188億円 | -34.2% | 48.8% |

減収減益だね!

売上のおよそ半分を占めていたロイヤリティー収入が大きく減少したことで、減収減益となったね。。。

シオノギは、コロナワクチンやコロナ治療薬の開発に注力しているから、今後に期待だね!
協和キリン
2021年度 第2四半期決算を発表しました。(参考:協和キリン)
今年度(1~6月) | 前年度比(1~6月) | 通期予想進捗率(1~6月) | |
売上高 | 1650億円 | +4.6% | 47% |
営業利益 | 309億円 | -10.2% | 48% |

増収減益だね!

抗FGF23抗体「クリースビータ」をはじめとしたグローバル主力品の売上拡大によって、増収だったけど、
販売促進費や研究開発費がかさみ、減益となったよ!

アムジェンとの大型契約が話題になったし、協和キリンには期待だね!
小野薬品工業
2021年度 第1四半期決算を発表しました。(参考:小野薬品工業)
今年度(4~6月) | 前年度比(4~6月) | ||
売上高 | 874億 | +16.6% | |
営業利益 | 298億円 | +10.2% |

今年度は増収増益だね!

主力品のオプジーボが拡大し、290億円売り上げたよ!
さらに、ロイヤルティー収入も増加したことで、増収増益となりました!
田辺三菱製薬
2021年度 第1四半期決算を発表しました。(参考:三菱ケミカルHD)
今期(4~6月) | 前年同期比(4~6月) | ||
売上高 | 984億円 | +3.6% | |
営業利益 | 47億円 | -47.2% |

今期は増収減益だね。。。

重点品の販売拡大により、増収になったものの、
コロナワクチンの研究開発費増加が響いて、減益となっています。
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